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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載26回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・運命の赤い糸が少しずつ手繰り寄せられ圭子と博は互いに惹かれていく・・・》

第5章  プロローグ④

「久しぶり!元気だった?」

しばらく連絡がなかった紗子から電話があったのは、圭子が博のマンションに遊びに行く前の日の土曜日だった。

「ねえ、聞いてくれる?もう、頭にきたわ!」

紗子は開口一番、興奮した声でまくし立てた。この女の挨拶はいつもこうだ。自分を軸にして地球が回っているとでも思っているのだろうか。

「どうしたのよ、いったい?」

「この前の婚活バーで知り合った男よ!」

「あー・・・。あれからどうなったの?会ってるの?」

「一度、会ったんだけどさあ・・・もう、とんでもないマザコン男なのよ!」

紗子の話によれば、婚活バーで知り合った男は尋常じゃないぐらいのマザコンだったらしい。年齢は45歳。家は代々続く、老舗の和菓子屋。20代で親が勧める見合いの相手と結婚したが、すぐに離婚。長年独り者の息子を見かねて取引先の業者が、たまたま婚活バーに連れて来たところを、紗子の毒牙にかかったというわけだ。前回、紗子とまた婚活バーで待ち合わせしたときも度々、席を立ち携帯に出ているようだったので、よっぽど忙しい人なんだろうと思っていたという。その後ドライブに誘われた時も、携帯に何度も電話がかかってきてはその都度、車を停車しては受け答えしていたらしい。『何かあったんですか?』と紗子も心配して聞いてみたところ、『いや、何でもありません。電話はおふくろなんです・・・』とついに白状したのだとか。

「それでさ、デートに何を持って来たと思う?・・・お弁当よ!信じられる?!」

「?!お弁当?・・・」

「そう。お腹もそろそろ空いてきたし食事でもしませんかって言ったらさ、僕はお弁当があるんでどっか外で食べましょうだって!たくさん作ってあるからあなたも一緒にどうぞだって!」

「・・・・・・・・!」

「しかも『おふくろの玉子焼きは世界一なんです』だって!ぜひ、君にもこの味を覚えてほしいって言って一切れ口に入れようとしたのよ!」

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電話を度々かけてきてたのは、道が間違っていないかとか、渋滞はしていないかとか、心配でたまらなかったらしい。その男の家は代々、女系家族でずっと婿養子をもらう家系だったのだが、久しぶりに男子が誕生し(兄妹は上に女ばかり4人)幼少の頃から母親や姉たちに異常なほどに可愛がられて育ったという。結局、母親の言うとおり指定された公園で、きっちりと時間通りにお弁当を食べたのだという。しかもそのお弁当は重箱に入っていて、お節料理のように黒豆や海老まで入っていたのだとか。少々のことでは動じない紗子だが、この重箱には開いた口が塞がらなかったらしい。公園でお弁当を食べているときもしょっちゅう携帯がかかってきていた。携帯の電源を切ればいいのに、それだけは出来ないのだろう。小声で『もう大丈夫だから、電話しないでよう・・・』という声がちらっと聞こえたのだとか。『帰りは道が混みそうだから、そろそろ帰りましょうか?』とそわそわする男に紗子もとうとうキレて、男を残して鎌倉から電車で帰ってきたそうだ。

 

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「もう、どうしてこう私がいいなあと思ってる男は変なのばっかりなの?」

圭子は聞いていて笑いをこらえるのに必死だった。確かに紗子は、顔立ちもいいし、美人なのだが男運だけは悪い。婚活、婚活と圭子を誘っては、パーティーや合コンに出かける肉食女だがなかなかうまくいかない。紗子が選ぶ基準は第一位が金持ちであること、第二位も金持ちであること、第三位はそこそこ顔もいいことである。要するに金持ちなら誰でもいいというわけではなく、ある程度自分につりあう顔でなければ妥協できないのだ。

「あーあ。もう、こうなったら誰でもいいわ。圭子の会社には誰かいないの?けっこう年収高いんでしょ?」

「うちはだめよ。いいなあと思うような男性はほとんど結婚してるわ・・・・・・・」

(あ、茂木編集長がいたわ!でも、さすがに編集長じゃあね。まあ、編集長の方も紗子みたいな女はいやだっていうかもね・・・ふふ)

「何よ?どうしたのよ?ところで圭子はどうだったの?誰かいい男と知り合えた?」

「ぜーんぜん!だめよ・・・」

『あなたはもっと真剣に婚活をしたほうがいいような気がしますよ。』という婚活バーで知り合った男から言われた言葉を思い出していた。婚活をしているのか、やらされているのか、そもそも自分は結婚がしたいのか?と自分自身が分からなくなったところで、編集長の従弟だという冨澤と知り合った。やっと素直に好きだなと思える人に巡り合えたと思った。しかも明日は博のマンションに博が作る手料理を食べに行くのだ。

(あ、明日何を着ていこうかな。美容室行っとけばよかったな・・・)

「もう、相変わらず圭子はのん気よねえ・・。そう、そう、私が入会している結婚相談所から紹介状が届いたのよ。41歳で年収850万。まあまあでしょ?顔もなかなかいいのよねえ。職業はエンジニアだって。すぐに、YESで返事出したんだけど、たぶん無理だろうなあ・・・」

「エンジニア?!」

「そう。竹之内豊みたいな顔してるのよ?競争高いだろうなあ・・・」

「!?・・・・・・・・」

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載25回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・アラフォーまっただ中の圭子に博。口下手な博だったが、圭子にだけは緊張することなく話せるのだった》

第5章  プロローグ③

茂木は会社のエレベーターホールですれ違いになった圭子を送り出し、デスクに戻り原稿チェックをしていると携帯が鳴った。

「義男さん、どうも、博です。今日は有難う御座いました」

「おう、博くんか!いきなり面倒なことお願いして悪かったな。どうだった?兵頭に聞いたらけっこう答えてくれたって言ってたが・・・」

「いえいえ。僕の方こそ、兵頭さんにご飯までご馳走になってしまって。ところであれって、やっぱり記事になるんでしょうか?僕なんて大した趣味でもないし、記事になるような珍しいこともしてないし・・・。それに顔写真が出るのはかんべんしてほしいんですけど・・・」

「相変わらず、控えめな男だなあ。大丈夫、心配すんな。せっかく頑張ってくれたんだが、今回のは記事にはならんだろう。多分、これは使えないなあ。君には悪いが・・・。まあ、少ないがお礼はさせてもらうよ」

「お礼なんていらないですよ。それよりお聞きしたいことがあるんですけど・・・」

「う?なんだ?」

博は取材が終わった日の夜にさっそく従弟の茂木に電話をかけた。従弟の頼みだけに断りきれずに、茂木が編集長を務める週刊誌の“趣味男の部屋”という企画記事に載ることになったのだが、よくよく考えてみるとどうしても恥ずかしくなってしまって、記事にするのを止めてほしいと頼んでみるつもりだった。というのは口実みたいなもので、本当のところは、取材に来ていた兵頭圭子という女性のことを、それとなく聞いてみたかったのである。

「・・・・・・・・・・・・」

「ふーん。そうか・・・。うちの兵頭のことだろう?」

「え?!なんで?・・・・」

「ははは、まあ君の性格からすれば大体察しが付くよ。圭子はいい女だぞ。ちょっと年は食ってしまったが、よく気が付くし女房にするならお薦めだ!」

「いや、そんな女房だなんて・・・。まだ、そんなとこまでは・・・」

「何、言ってるんだ。君はいくつになったんだっけか?もう42の本厄だろう?」

「いや、本厄は来年です。まだ40です。もうすぐ41になりますが・・・」

「41でも42でもどっちでもいいよ。早く結婚してお父さんを安心させてやれよ。結婚に失敗した親戚が言うのもなんだがな。わはは・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「うん。確か圭子は年は38だったかな。多分、今は付き合っているやつはいないんじゃないかな。あいつも仕事が趣味みたいなものだからなあ・・・」

「年齢は聞きました。実は今度、また僕のマンションに来てくれることになっていて・・・。」

「なぬ~!!」

確かに茂木が言うとおり、今回は自分でもよくしゃべったなと思う。なぜか圭子の前だといつもよりリラックスして自然に話せたのだ。もちろん圭子は取材などで人の話を聞くのが本職だから、聞き出すことについてはお手のものだろう。ただ、博には圭子が仕事だけで、取材をこなしているという感じには見えなかった。圭子が転んで博の胸に飛び込んできたときには本当にびっくりした。圭子も赤くなっていたが、自分も同じように赤くなっていたのではないかと思う。圭子の長い髪からは、桃を切ったときのような甘い匂いがした。携帯を忘れているのに気付いて、慌てて駅まで追いかけた。普段の博なら絶対にそんなことはしない。あのとき駅でまた会えたのは奇跡だったのかもしれない。女性と昼食を一緒に食べたのなんて何年ぶりだろう。そして、自然の流れでまたマンションに遊びに来てと言えた。最後はもう照れることもなく、しっかりと圭子の顔を見て。

「あの~いきなり最初からマンションに誘って料理を作るなんて言ってもよかったんでしょうか?」

「はあ?いきなりもくそもあるか!いいに決まってるだろう?圭子は来るって言ったんだろう?」

「はい」

「あ!やっぱり・・・。それで、あいつあんなに赤くなってたのか・・・」

「え?やっぱりって?」

「いい、いい。分かった!とってもいい傾向だ。博君、これは大事だぞ!もちろん何をすべきか分かってるよな?」

「何をするんですか?」

「何をするって君、あれに決まってるだろう?厄年を迎える男が、カレーなんか作って美味しいって喜んでる場合じゃないだろ?」

「いや、カレーにしようかビーフシチューにしようか迷ってるんですけど・・・」

「かあ~!ったく!そんなのどっちでもいい。料理なんてどうでもいいから、シャンパンでも飲んでさっさとガバッとやっちゃえよ!」

「え~ガバッとですか?ってもしかしてあれですか?」

「そう!もしかしてあれだよ!」

あれがあの事ぐらいはさすがに博だって分かる。

(え~!あれかあ!・・・・)

 

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一方、その頃圭子は、作家の勝木の行きつけの店にいた。勝木はやって来た圭子を見るなりこう言った。

「お前さん、何かいいことあったな?さては、男が出来たな?いい男か?あれは上手か?ハハハ!」

「何ですか!いきなり。男なんかできません!」

「いやいや、俺には分かるぞう?俺は女の肌の色つやを見ただけで恋をしてるかどうかが分かるんだ。ふふっ・・・」

会社を出るときに天然娘の松本も、『何かいいことでもあったんですかあ?』などと言っていた。

(やっぱり私って顔に出ちゃうのかな・・・)

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説24回目 作 エンジェルおじさん

エンジェルさん、こんにちは。24

《前回までのあらすじ・・・・茂木編集長が紹介した従弟というのはアラフォーのイケメン。ちょっと、いや、かなりシャイな部分を除けば申し分ない。そんな博に一目惚れした圭子は・・・》

第5章  プロローグ②

「勝木先生、すみません、連絡が遅くなってしまって・・・」

「おう!久しぶりだな。元気か?とっくにタイから帰ってきてたんだが、あんまり暑いんで今度はしばらく北海道に行ってきた」

「相変わらず自由人ですねえ。いいなあ、北海道かあ・・・」

「ははは。何もすることがなくて退屈だから、今日こっちに帰って来たんだ。よかったらいつもの店に来ないか?土産もあるし・・・」

圭子は冨澤と食事をした後に、編集長からの電話を思い出し、作家の勝木へ携帯から電話したのだった。勝木の行きつけのイタリアンの店には夜の7時ごろ行くと伝えて、圭子はいったん会社に戻ることにした。

冨澤は今日はこれからバイクに乗ってどこか近場にでもツーリングに行くと言っていた。洋食屋の食事代も圭子が誘ったのに、冨澤は自分が払うといって譲らなかった。編集長に怒られますから、と無理やり圭子は自分で支払いを済ませたのだが、店を出たときに冨澤は圭子にこう言った。

「ごちそうさまでした。よかったら今度は僕が料理作りますんで、食べにきませんか?」

「?!・・・・・・」

「あ、いや、すいません!いきなり家に来たりするのはまずいかな・・・」

「いえ、そんなことありません。もう、さっき家にはおじゃましましたから・・・ふふ」

「そうですよね。なんか変な感じですね。僕のこともいろいろしゃべったし・・・。なんだかずっと前から知っていたような気分です」

そういうとまた屈託のない笑顔を見せた冨澤だった。結局、次の日曜日のお昼にまた冨澤のマンションに遊びに行くことになり携帯のメールアドレスを交換したのだった。

「僕の作った特製ポークカレーぜひ食べてくださいね!自分で特製っていうのもおかしいかな・・・」

(あれは何なんだろう?あの、少年のような顔は。まるで疑うことを知らないかのような今どきめずらしいような人だわ。しかしどういうつもりでまた家に誘ったんだろう?私に興味を持ってくれたのかしら?まさかね・・・)

圭子はあれこれ考えてみたが、冨澤の気持ちがつかめなかった。少なくとも嫌われてはないことは確かだ。久しぶりに胸の奥がきゅっと、締め付けられるような感覚を思い出していた。前に付き合っていた山形の彼のときもこんな感じはなかった。なんだかもっと前、そう中学生の頃の1年上の先輩。バスケット部のキャプテンで生徒会長。絵にかいたような初恋だ。圭子は自分でも可笑しくなった。

 

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会社に戻ってみると編集長の茂木はいなかった。今日は土曜日だが圭子がいる編集部は、締切も近いのでほとんどのスタッフが出勤している。茂木に従弟の冨澤のことをもっといろいろと聞きたかったが、いないのではしかたがない。とりあえず圭子が担当している記事をいくつか仕上げて、制作スタッフへ送るという作業を繰り返した。パソコンのキーボードを叩く手を休めるたびに、ついつい冨澤の顔が浮かんでくる。

(優しい人だということは確かだわ。本当に彼女がいないのかしら・・・)

あれこれと考えているといつのまにか勝木との約束の時間が近づいているのに気がついた。

(そろそろ行かなきゃ・・・)

「兵頭せんぱあい!何かいいことあったんですかあ?」

珍しく机に向かっておとなしく仕事をしていた松本が声をかけてきた。そう、いつか勝木の前で酔いつぶれていた天然娘である。

「別に何もないわよ。なぜ?」

「いや~、さっきからあ・・・時々顔を上げてえ・・・ニコニコしてるみたいだったからあ・・・。今日は彼氏とデートでもあるのかなあ~~って思ってましたっ!」

まったく天然のくせに、人のことはよく見ている油断のならない女である。

(本当にそんな顔してたのかしら・・・)

「デートなんかあるわけないでしょ!今から勝木先生のとこに行って来るから、編集長が戻って来たら伝えといてね」

「はあ~~~い!」

なんでこういちいち間延びしたように話すのだろう。普段なら一言二言注意したくなるところだが、今日はもうやめとこう。なぜかあんまり腹も立たない。1階のエレベーターホールに降りると、ちょうど外から入ってきた茂木と出くわした。

「あ、編集長!お疲れ様です。今から勝木先生のとこに行ってきます」

「お、そうか。よろしく言っといてくれ!」

茂木はビルの外でタバコを吸い溜めしたのだろう。身体全体からタバコの匂いが漂っていた。

「おい、ところであいつはどうだった?」

「え、あいつって?」

「博だよ。従弟の・・・。ちゃんと話してくれたか?」

「はい、全然大丈夫でしたよ。最初は渋ってましたけど、慣れたらけっこういろいろとしゃべってくれましたよ!」

「そうか・・・。ふーん・・・。」茂木は言うなりニヤニヤしている。

「どうしたんですか?」

「いや、あいつが女にそこまで馴染むなんて考えられん。お前のことが気に入ったのかもしれんな・・・。ハハ!」

「冗談はやめて下さい。そんなことあるわけないでしょ!」

「いや、いや、あながち違うとは言いきれん。お前はどう思う?ちょっと変わってはいるが人間はそんなに悪くないぞ。俺と違って真面目だし・・・。ハハハ!」

「もう、いいかげんにして下さい。編集長、時間ないんで私もう行きますね!」

圭子はなんとなく顔が赤くなったような気がして、後ろも見ずにビルの外へ飛び出した。

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説23回目 作 エンジェルおじさん

エンジェルさん、こんにちは。

《前回までのあらすじ・・・・忘れた携帯を駅まで走って持って来た冨澤を見て、これが運命の出会いだと信じた圭子は自分から食事に誘うことにしたのだが・・・》

第5章  プロローグ①

(言っちゃった!自分から誘ってしまった!)

「いいですよ。でもお礼されるほどのことじゃないですよ」

そう言うと冨澤はまた笑った。

「じゃあお昼ご飯だけでも付き合ってください。冨澤さんもお昼はまだでしょう?」

「そういえば今日は朝から何も食べてなくて・・・実はお腹空いてました」

「やっぱり。時間取らせてしまってごめんなさい」

「いえいえ。休みの日はいつもこんな感じです。朝食は抜きで昼飯と一緒ですから・・・」

「そうなんですか。このあたりでいつもお食事されるところってありますか?」

「この辺では、さっきのファミレスぐらいだけど、たいしたもんないしなあ・・・。あ、そうだ!少し歩くけど美味しい洋食屋さんがありますよ」

冨澤が案内した店は、北品川の駅から歩いて5分ぐらいの商店街の通りの中にあった。総菜屋や花屋、八百屋などが立ち並ぶ中に違和感なくその店は馴染んでいた。“キッチン・フライパン”と看板に書いてある。

「ここです。そんなに大きな店じゃないけど味はまあまあです。ハンバーグはけっこういけますよ」

そういうと冨澤はカランカランと大きなカウベルの音を鳴らして扉を開けた。

午後2時を過ぎても店の中はけっこう人が入っていた。ちょうど入り口横のテーブル席にいた大学生風の男二人が立ち上がったので、そこに座ることにした。キッチンからはお肉が焼けるような香ばしい匂いと、デミグラスソースの甘い香りが漂ってくる。圭子はお薦めだというハンバーグを注文し、冨澤はオムライスを頼んだ。

「いいお店ですね。よく来られるんですか?」

「そうですね。週に3回ぐらいは来てるかも」

「そんなに!」

「仕事のときは家に帰って夕食を作るのが面倒なんで・・・。ここは平日でもけっこう遅くまで開いてるんでよく来てます」

「分かります。私も仕事の時間がばらばらで外食ばかりです。家で作るなんてことめったにないですもん」

(なんかいかにも料理しようと思えばできるような言い方だけど・・・ま、いいか!)

「そうですねえ。でも僕は料理を作るのも好きなんですよ。ここのハンバーグの味を真似てこの前作ったんだけど、なかなか難しいですね。ハハハ。兵頭さんはどんな料理を作るんですか?」

「?!えっと、そうですねえ。たまにカレーとか・・・、シチューとか・・・」

(一応、料理だわよね・・・)

「カレーですか?!僕も大好きです、カレー!僕がよく作るカレーはポークカレーです。豚肉のブロックを買ってきて、にんにくでこんがり焼いて玉ねぎも飴色になるまで弱火でしっかり炒めるんです。それからかくし味としてオイスターソースとか・・・・・・・・」

それから冨澤は延々とカレーのレシピを語りだした。カレーのルウも市販の物を二つ混ぜ合わせたりとか、最後にらっきょう酢を数滴たらすだとかいろんなこだわりがあるらしい。料理の話をしているときは、さっきバイクを触っていたときと同じ顔をしている。子供が遊んでいるときみたいに嬉しそうな顔をする。分かりやすい人なんだなと思う。圭子はずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。

「カレーを作り過ぎた場合ってどうしています?冷凍するとじゃがいもとかスカスカになってしまうじゃないですか?あれってどうしたらいいんですか?」

「あ、じゃがいもですよね?あれはいけませんねえ。じゃがいもの中の水分が出ちゃって繊維が壊れてしまうから食感がパサパサになってしまうんですよね。僕は極力、カレーは冷凍はしないようにしています。出来るだけ冷蔵庫に入れて2日以内には食べきるようにしています。よく、一晩寝かせたカレーが美味しいっていうでしょう?僕はどちらかというと出来立てのサラッとしたカレーが好きなんで、じゃがいもはあんまり入れないんです」

「・・・・・・」

「すみません。何か一人でしゃべってしまって・・・」

「いえ。でも冨澤さんってお料理もご自分で出来て、すごいですね。私なんか料理のうちに入らないわ・・・」

「いや、全然たいしたことありません。料理なんかうまくたって・・・」

冨澤が何か言いかけたところで、注文した料理が運ばれてきた。ジュージューと鉄皿の上でハンバーグが焼ける音がする。デミグラスソースがたっぷりかかっていて、目玉焼きも横に添えてある。冨澤のオムライスもふわふわの玉子の上に鮮やかに赤いケチャップがかかっている。

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「ハンバーグも美味しいけど、ここのオムライスも美味いですよ。とても懐かしい味がします。昔ながらの正統派オムライスって感じです」

「美味しそう!頂きます!」

圭子もまだ熱そうなハンバーグをナイフで切り分けてみた。みるみる肉汁があふれ出てくる。ふーふーと口で冷ましながら切り分けたハンバーグを口に入れる。

(美味い!)

「いかがです?」

「美味しいです!こんなに美味しいハンバーグ初めて食べました!」

「でしょう?お肉もふっくら焼けていて、デミグラスソースがまた美味いんですよ。目玉焼きを崩して黄身をデミグラスに混ぜてごはんにかけて食べるともっと美味いですよ!あ、このオムライスも食べてみて下さい!」

そう言うなり冨澤は自分の持っていたスプーンを圭子に差し出した。

(?!え!なんなの、この感じ?料理をお互いに交換して食べるって、まるで恋人同士じゃない!)

「どうぞ、どうぞ!」

冨澤は屈託のない顔で微笑んでいる。

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説22 作 エンジェルおじさん

エンジェルさん、こんにちは。22

《前回までのあらすじ・・・・婚活中の博と圭子は運命的?な出会いを果たしたのだが・・・》

第4章  運命の赤い糸⑤

結局、Tシャツを着替えた博はその後も写真撮影を無難にこなし、圭子からの取材に受け答える。丁寧に言葉を選びながら答える冨澤にますます惹かれていく圭子だった。

「冨澤さんはたくさん趣味をお持ちのようですが、バイクはいつ頃から始められたのですか?」

「バイクに乗り始めたのは高校生の頃です。その頃はお金がなくてミニバイクしか乗れなかったのですが、大学の時に大型免許を取ってからようやく社会人になって念願のハーレーに乗ることが出来ました」

「住んでいらっしゃるところもけっこうなお住まいですし、バイク専用のガレージまで付いていて、おまけにハーレーも新車だとお聞きしましたが、相当収入がおありなんですね?」

「そんなことありませんよ。ここのマンションは相場からすると安い方です。ハーレーもローンですし、前のハーレーもいい値段で下取りしてくれましたから・・・。まだ幸い一人なんで自分の好きなことにお金を自由に使えますから。あれ?幸いっておかしいか。ハハ。まあ、バイクやカメラなどの趣味にはお金を使うけど、僕は着る物とか食べる物はどうでもいいんです。お酒もほとんど飲めませんから・・・」

博はふと、この前入会した結婚相談所のことを思い出した。(結婚したらもうこんなに趣味にお金は使えないだろうな)

「ご結婚する予定はないんですか?」(聞いちゃった!でも質問の流れからすればおかしくはないよね)

「結婚?!誰と?」

「いえ、誰とって、その・・・。今、お付き合いされてる方とか・・・」

「そんな人はいません」(婚活中だけど・・・)

博は伏し目がちに力なく笑った。圭子はその姿を見て何となく嬉しくなった。しかしどうしてこの年まで一人だったのだろう?という疑念がまたむくむくと持ち上がったのだった。(やっぱり女嫌いなのかも?)

「まあ、いつまでもいい歳してバイクってわけにもいかないんですけどね。そろそろ結婚もいいかなあって考えたりもするんですけど・・。はは、相手もいないのに・・・」

博は聞きもしないのにそんなことをぺらぺらとしゃべった。編集長から聞いていた感じよりはそこまで人見知りということもないような気がする。

「冨澤さんなら、カッコイイしモテるでしょう?本当はけっこうプレイボーイだったりして?」

「え!とんでもない!全然だめですよ。職場にも女性はほとんどいないし・・・。知り合うきっかけもない」(だから結婚相談所に入ったんじゃないか・・・)

横で聞いていたカメラマンの水田が口を挟む。それを冨澤はムキになって否定した。

「水田君!余計なことは言わないの!」そう言いつつも圭子はますます嬉しくなった。

それからまた写真を何点か撮り取材は終了となった。

「今日は有難う御座いました。原稿が出来ましたらまたお見せしますので、またご連絡しますね」

「どうもお疲れ様でした」

玄関先まで見送りに来た冨澤は、最初会った時に比べるとかなり笑顔がこぼれていた。

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次の現場に向かう水田と駅で別れてから、圭子は駅の1Fにあるコーヒーショップに入った。喉が渇いていたので冷たい物でも飲もうと思ったのである。店に入ってアイスコーヒーを注文してから改めて冨澤の事を考えた。

(どうしてずっと一人だったのかな。いくら出会いがないからと言っても、上司の紹介とか親戚の紹介とかもあっただろうに・・・。そういえば私にも伯母がまた縁談の話を持ってきてたっけ・・・)

運ばれてきたアイスコーヒーを飲みながらぼんやりしていると、ついつい冨澤の顔が浮かんでくる。転んで抱えられたときの胸の匂いをまだ覚えている。懐かしい匂いだった。子供の頃に嗅いだような記憶がある。

(やだ。これって一目ぼれ?勝木先生に言ったらまた茶化されるかな。あ、そういえば勝木先生に連絡しなきゃ!)圭子は編集長からの電話を思い出して携帯をバッグから取り出そうと探した。

(あれ?ない!?忘れてきた!?冨澤さんのマンションに?)

あわてて勘定をすませて外に出ると、ちょうど改札口の前に息を切らした冨澤の姿が見えた。

「あ、冨澤さん!」

「?!あ、間に合ってよかった。携帯忘れてましたよ!」

(やっぱり!これってもう運命の出会いとしかいいようないじゃん!)

「ありがとうございます!わざわざ持って来てくれたんですか?私、そこでお茶飲んでいたんです」

「そうだったんですね。ガレージに行ったら携帯があったので、あなたのだと思って・・・。駅に行けばいるかなと思って・・・間に合って良かった!」

また冨澤の顔から白い歯がこぼれた。

「冨澤さん、今日はこれから何かご予定はありますか?」

「?!え!いや、今日はもう休みだから何もないですけど・・・」

「よかったらお礼にお食事でもいかがですか?」

気が付いたら圭子はそんなことを言っていたのである。もう、チャンスは逃さないぞ。運命に逆らわず進もうと思った。これが私に向けられた運命の赤い糸だと真面目に考えたのである。

つづく

 

 

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