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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載31回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・引き寄せられるように出逢った圭子と博。運命の赤い糸は切れずにこのままつながっているのか・・・》

第6章  赤い糸の伝説②

「圭子か?今、話せるか?」

めったに電話など寄越さない父から連絡があったのは、取材が長引いた為にようやく会社に戻って一息ついた21:30頃だった。

「うん。今は大丈夫よ。ちょうど今、会社に戻ってきたところ」

「そうか・・・。相変わらず忙しそうだな」

「まあ、ぼちぼちかな。どうしたのよ?お父さんが電話するなんてめずらしいわね?お母さんは?」

「・・・・・。それが、ちょっと母さんの具合が悪くてな・・・」

「え?!どうしたの?何かあったの?また、倒れたの?」

以前にも母は一度、腎臓を悪くして入院したことがある。昔から体があんまり強いほうではなかったが、ここ数年は特にそうだ。すっかり痩せてしまって、疲れた、と言っては早く寝ることが多くなった。父と同じく長年、教職を全うした真面目だけが取り柄の女性だ。おっちょこちょいで涙もろく、正義感が強いDNAはしっかりと圭子に受け継がれている。

「いや、そんな大げさなもんじゃないんだが・・・。ちょっと風邪を引いたらこじらせてしまってな。だいぶ体が弱ってるようで、しばらく様子を見ようということになって、いつもの嶋田先生のとこで検査してもらっている」

「ちょっと、大丈夫なの?また、お父さんが野菜をたくさん作ったりするから、お母さんに無理やり手伝わせたりしたんじゃないの?」

父は定年後に始めた家庭菜園が唯一の楽しみで、たくさん野菜を作っては近所へおすそ分けしたり、最近は地元の道の駅などにも出荷しているらしい。圭子のところにもいつも食べきれないほどの、玉ねぎやじゃがいもなどを送ってくる。自宅の裏にある畑だけでは飽き足らず、近所の人の使っていない空き地を借りていろんな野菜を育てている。きゅうりなどは一斉に花が咲きすぐに実が大きくなってしまうので、一気に収穫しないといけないらしい。水をかけて、肥料を撒いて、草取りをして。手塩にかけて育てた野菜を収穫するときの喜びは格別らしい。時々は母も草むしりをしたり、トマトをちぎったりと手伝いに行くことがあるらしい。今年の猛暑で熱中症で倒れた老人のニュースを耳にするたびに圭子は肝を冷やしていたのだった。

「いや、最近はわしも野菜は作っておらんよ。この暑さだ。さすがにもう体がもたん。ところでお前一度家に帰って来れんか?」

「帰れないことはないけど・・・」

「母さんが、なんだか気弱になってなあ。圭子に会いたいとか言うもんだから・・・」

「わかったわ。いつまで入院してるの?」

「嶋田先生と話したんだが、明日また検査をやって問題なければ2~3日で退院できると思う」

嶋田先生とは圭子の実家のすぐ近くにある個人病院だ。親子二代にわたって開業しているが、腕の方は評判で、圭子の家も昔からのかかりつけの病院だ。数年前に拡張してからは入院施設も充実して患者数も増えたといつか母に聞いた。

「ちょうど締切も終わって一段落したとこだから、明日の朝イチで帰るわ」

「わかった。じゃあ気をつけて帰ってきなさい」

圭子の住む実家は神奈川にある。日帰りでも行ける距離だが、今から行っても病院での面会はできない。圭子は明日は有休を取ることにしていったんマンションに帰ることにした。

母が退院するまでは休みを取ろうと思い、編集長の茂木を探したが姿が見えない。

(どこに行ってるのかしら)

圭子はとりあえず茂木の机にメモを残し、後で電話しようと思い会社を出た。

(大丈夫かな、お母さん。大したことなければいいけど・・・)

つい、ひと月前に伯母からまた見合いの話があると言って電話を寄越したばかりだった。大学の頃から実家を離れて一人で暮らしている圭子を、いつも心配しては気にかけてばかりいる“子離れ”が出来ない母だった。いつまでも結婚しない圭子に、愚痴のひとつも言わずやりたいようにやらせてくれた優しい母。学校の先生を続けながら、圭子を育て上げた。遅い結婚だったせいか、圭子が生まれたのは母が31歳のとき。母ももう70歳になろうとしている。そんな母にもしものことがあったらと思うと圭子は瞼の裏がなぜか熱くなるのだった。

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(やっぱり今夜中に実家に帰ろうか・・・)

圭子が地下鉄の駅に向かっていると、携帯が鳴った。紗子だ!

「こんばんは!元気?私、いよいよ結婚することにしたわ!もうプロポーズもされちゃった!」

「え~!!!誰と?」

「例の結婚相談所よ!竹之内豊そっくりの男よ!」

「え~!!!!!!」

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載30回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・ついにガバッといやガチッといっちゃった博は圭子と結ばれる。》

第6章  赤い糸の伝説①

9月に入った。すでに9月の半ばだというのに東京の日中は30度を超える夏日が続いている。それでも朝夕に感じるひんやりとした風が秋が来ていることを教えてくれる。あれから、圭子は毎週のように博のマンションに来ている。最初のデートがマンションでのカレー作りで、二回目はハンバーグ作りだった。近くの洋食屋のハンバーグのデミグラスソースの味が気に入っている博は、前の日から野菜や肉、ワインを煮込んでオリジナルソースを完成させた。さすがにプロの味には及ばないが、それでもちょっと甘目のソースはコクも深みもあってなかなかのものだった。3回目は餃子を作ろう、ということになって二人で近くのスーパーに出かけて食材を買ってきた。大蒜もにらもちゃんと入った正統派の餃子だ。圭子も餡を皮に包むのを手伝ったが、どうやっても小龍包のような形にしかならず、それを見てはまた二人で笑いあうのだった。

(料理教室に通っている気分だわ・・・)

それでも圭子は博の傍に居ることがこの上ない幸福だった。二人で市場やスーパーに出かけて、新鮮な食材を買う。二人で料理を作る。二人で味見をする。二人でゆっくりと食事をする。二人でシャンパンとワインを飲む。(博も2杯ぐらいは飲めるようになった)二人で食器を洗う。(いや、洗うときだけは圭子だ。博は圭子が洗った食器をふきんで拭いて棚に片づける)そして酔い覚ましにコーヒーを飲む。(圭子はまだワインを飲んでいることもある)そして後は・・・。

38歳と41歳の女と男。大人である。愛し合うのは当たり前だ。二人共、時間がないわけではない。しかし最初に結ばれてからは堰を切ったように求め合うのだった。どこかに行く時間がもったいない。映画を観てる時間がもったいない。今まで二人が生きてきた時間と歴史を一気に縮めるためには、部屋で料理を作って過ごす方法は最も最善の方法だった。手を伸ばせばいつでも触れる距離。触れながら会話する。二人とも有効に時間を使いたかった。

博は子どもの頃の思い出、家族の話、会社の話、仕事の話を一つ一つ順を追うように丁寧に語るのだった。特に二人の共通点である博の従弟、茂木(圭子にとっては職場の上司)の話はよく話題となった。

「義男兄ちゃんは、子供の頃からガキ大将みたいな存在でした。よく親戚中の子供を連れて遊びに行ってましたよ。クワガタとかね・・・」

「ふふ、今でも編集長はガキ大将みたいなもんだわ」

博は腕枕をしながらそんな話をした。痩せているように見えても逞しい腕と盛り上がった厚い胸板だった。やっぱり子供の頃にどこかで嗅いだような懐かしい匂いがする。圭子はこの匂いも好きだった。

「ずっと部屋ばっかりで会ってますよね。明日は祭日だしどこか行きませんか?」

「え?明日?!」

「そう、明日。今日はここに泊まりませんか?」

「泊まるって、今日は何も準備していないし・・・。お化粧直しぐらいしか持ち合わせてないし・・・」

「すぐ、そこに遅くまでやってるドラッグストアがあるんです。今から散歩がてら買いに行きましょう!」

今まではどんなに遅くなってもしっかり自分のマンションに帰っていた圭子だったが、明日も祭日で久しぶりの連休だし泊まるのも悪くないなと思い始めていた。何よりまだ博と離れたくなかった。このまま肌を重ねていたい。

「圭子さん、ほら!外を見て!きれいな満月です!」

バスタオルだけ巻いた博がベランダの窓から外を見ている。博が指差す方向には黄色い光に彩られたまん丸い月が見えた。見事な満月だった。少しも欠けていない、今ちょうど満月になったばかりと言ってもいい月だ。

 

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「綺麗ねえ・・・。中秋の名月よねえ・・・」

「でしょう?早く散歩に行きましょう!」

「・・・・・・・。博さん、もう一度こっちに来て・・・」

「・・・・・・・。散歩はもうちょっと後にしましょうか!」

中秋の名月の夜が静かに更けゆく、9月の日曜日である。

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載29回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・圭子に『婚活してますか?』と聞かれ、うろたえる博。そして『あなたに会えたから・・・』という返事にびっくりする圭子。倍返しだ!》

第5章  プロローグ⑦

「30代後半あたりからもう結婚なんかどうでもいいかなあ、なんて思うようになりました。悲しい話ですが・・・」

「それはどうしてですか?」

「どうしてだろうなあ・・・。まあ、簡単に言えば結婚したいと思える人に出逢えなかっただけなんだけど・・・。なんだか面倒くさくなっちゃうんですよねえ。人を好きになったり、付き合ったりすることが・・・」

「・・・・・・・・」

「あなたはどうです?」

「え?!何が?」

「あなたも婚活してますか?それとももう誰かいるんですか?」

「誰もいませんよ。いたら男の人の部屋に一人で来たりしません。さっき冨澤さんが言った事と同じですよ。ふふっ!」

「あはは。確かにそうだ」

食事が終わった二人は、ダイニングテーブルからソファに移りくつろいでいた。ゆったりとしたソファは3人掛けの大きなものだ。これもきっとIKKEAで買ってきた物だろう。部屋の中央には大型テレビもスピーカー付きで据えてある。ゴルフの中継が流れているが、音が大きいので最小に絞ってあるようだ。それでもゴルフ場の蝉の鳴く音まで臨場感たっぷりに聞こえてくる。当然、圭子の部屋と比べてもかなり広い。博はいつもこのソファで一人でテレビを見てるのだろうか。

(まあ、私も一人で部屋でビール飲んでるけど・・・)

「私も冨澤さんが言ってることよく分かります。私もさっき言った友人に誘われて、合コン行ったり、婚活バーに行ったり・・・。婚活、婚活ってなんだか面倒になってしまって・・・。いったい何のために婚活するんだろう?そもそも私は結婚したかったのかどうかも分からなくなってしまいました」

「・・・・・・・・・・・・」

「だから私ももう婚活なんかやめることに決めたんです。確かにお見合いパーティーや、合コンで理想の人と結ばれる人もいるでしょうけど、私には向いてないことがわかりました」

「じゃあ、あなたは結婚はまだ先の話だと?」

「い~え!結婚はします。結婚したいと思います。でも、いついつまでに相手を見つけて、何か月付き合って1年後には式を挙げて・・・・みたいな婚活はやめようと思ったんです」

「・・・・・・・・・・・・」

「つまり、普通に出逢って、普通に付き合って、普通に結婚する。そんな出会いなんて今の時代には無理だってことも分かってます。でも、私はいくつになってもそれでいいと思うんです。結婚したいなあと思う人が出来たら、自然の流れにまかせる。でも、いよいよの時は自分からでもアタックする。本当に好きになった人と結婚したい・・・って、こんなこといい年して語ってる場合じゃないんですけどね。へへ」

「・・・・・・・・・・・」

圭子はいつもより多弁になっている自分に気づいた。シャンパンの酔いが回ったのだろうか。いや、そんなことじゃない。沈黙してしまうのが怖いからだ。さっき博が言った言葉。『あなたに会えたから・・・』ってどう取ればいいのだろう。『あなたに会えたから結婚相談所はやめます』つまり結婚の相手はあなたに決めましたってことを言ってるんだと思う。何て返事していいのかわからない。ずっと黙っていたら心臓の音まで聞こえてしまいそうで怖い。

(いきなり最初から男の人の部屋を訪ねて来るなんて・・・。軽い女なんだって思われたりしてるかなあ)

「圭子さん!!」

突然、博が立ち上がった。

「ハイ!!」

びっくりして圭子も声が裏返った。

「こ、ここから見る、け、けしきは、さ、さいこうですよ!」

「ハイ?」

「ここからちょうど正面に東京タワーが見えるんです!」

「はあ」

圭子は博の立つ窓へ近寄った。

「ほら、あそこ!」

 

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確かに博の言うとおり、指で示す先には東京タワーの赤い鉄塔が見える。が、そんなに大きく見えるわけでもない。と思った矢先、博の手は圭子の肩に回っていた。さっきは緊張のあまりぎこちない声だったのに、この手は自然に動いている。

(いや、ちょっと震えてるかな?)

圭子はだんだん冷静になっていく自分と、博を挑発してみたい自分がいることに気づいた。

(来るかな?)

圭子が先に目をつぶるやいなや、博の顔がぶつかった!

ガチッ!!

そう、ぶつかったのだ。正確には“歯”がである。

「イテッ!」

「痛いっ!」

二人とも同時に悲鳴を上げる。そして、お互いに顔を見合わせゲラゲラと笑う。しばらくの間、笑いが止まらない。こんなに笑ったのは久しぶりかのように・・・。

「博さん」

「はい!」

「ソファにゆっくり座りましょう!」

「そうですね!」

(コラ、立ったまんまガバッといくやつがあるか!しかもお前のはガバッじゃない、ガチッだ!まあ、いい。後は兵頭にガバッとやってもらえ!わはは!by茂木編集長)

『〇〇選手、このホールもイーグルです!以前、1位をキープしています!』というアナウンサーの声が大きく聞こえたような気がした。8月もそろそろ終わりだというのに、今日も猛暑日の夏のことである。

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載28回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・冨澤の部屋で料理を一緒に作る圭子(人参の皮を剥いただけだが・・・)ビールとシャンパンまで開けていきなりの部屋デートは順調に過ぎてゆく・・・》

第5章  プロローグ⑥

ビールをコップ半分、シャンパンをグラス1杯飲んだだけで博は顔が火照っているのが自分でもよく分かった。昔からアルコールは駄目だった。心臓がバクバクしてきてすぐに眠くなってしまう。しかし、今日はさすがに少しでもいいから酒の力を借りないと“アレ”は出来ない。従弟の茂木編集長に言われた“アレ”だ。アレとは『シャンパンでも飲んでさっさとガバッとやっちゃえよ!』ということだ。博はご丁寧に茂木に言われた通りシャンパンまで買ってきた。朝早くからスパイスを調合した。タンドリーチキンまでオーブンで焼いて。カレーも完璧に出来た。圭子は本当に美味しいと言ってくれた。シャンパンも2本目を開けている。ここまで順調だ。じゃあ後は、いよいよ“アレ”しかない。

「本当に美味しい!こんなに美味しいカレー初めて食べました」

「そうですか!お口に合って良かった」

「冨澤さんて、すごいんですね!昔からこんなに料理を作られてたんですか?」

「そうですねえ。僕は何でも凝る方なんで、やり出したら歯止めがきかないんです。料理を始めたのは4~5年前からなんですけど、作るよりもどっちかっていうと調理器具を集める方が多いかな。ははは。でも、お客さんが来たときぐらいは、せっかくだからたくさん作るんです。カレーとかシチューなんかは大きい鍋で作らないと美味しくないから・・・」

「確かに、そうですよねえ。私も最近は作らないです。カレーなんかいくつもパックが冷凍庫に入ってます」

「冷凍しちゃうとやっぱり味が落ちちゃいますもんね」

(コラ、カレーの話はもういいだろ。さっさとガバッといく準備をせんか!by茂木)

「ちょっと酔い覚ましにコーヒーでも入れますね?」

(あちゃー!by茂木と自分)

博は自分でもガバッとなんていく勇気はないのは分かっている。茂木に言われた通りシャンパンは買ってきたが、あくまでも念のためだ。でも、圭子がこんなにお酒が好きだとは思わなかった。もっとたくさん買っておけばよかったかなと思う。それにしてもビール2本飲んで、シャンパンも殆ど2本目が空になりそうなのにケロッとしている。顔も全然赤くならない。羨ましいなあと思う。博の家の者はみんな酒が強い。親戚も酒豪揃いだ。もちろん従弟の茂木も底なしの大酒飲みだ。正月に親戚が集まりみんなで酒を飲んで大声で騒いでいるのを見るとどうしても気おくれしてしまう。子供の頃からこうだ。友達がせっかく遊びに誘いに来ても、家でじっと本を読んでいるか模型を作っているような子供だった。またよく納屋に籠っては、自転車や古いラジオやテレビを分解してはまた組み立てるというような事を繰り返していた。親戚中でも学校でも世間でいうところのいわゆる“変わり者”だ。変わり者だけど頭はいい。子供の頃からよくデキる。地元の高校からストレートで東大へ合格し、今の会社も好きな機械のことだけ考えていればいいという理由で迷うことなく選んだ。あれから約20年・・・・。

「お待たせしました。お酒はあんまり飲めないんだけど、コーヒーは大好きなんです。1日で5杯ぐらいは飲んじゃいます」

「私もコーヒー好きですよ。う~ん、いい香り!」

 

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もちろん大好きなコーヒーを淹れるための道具は欠かせないのだ。コーヒーメーカー、サイフォン、ドリップ、エスプレッソマシンまで全てある。いろいろ試したが、コーヒー本来の旨みを引き出せるのはやはりドリップだと思う。時間やお湯のの温度、蒸らし方ひとつで味がずいぶん変わる。ごまかしがきかないのだ。もちろんミルクや砂糖なんか入れない。ブラックのみ。夏でもホットを飲む。

(だからもうウンチクはやめろって!by茂木他、冨澤家親戚一同)

「冨澤さん、変なこと聞いちゃっていいですか?」

「?!え?何でしょう?」

「この前、取材のときに彼女はいないって言ってたけど、本当はいるんでしょ?」

「え!まさか。彼女なんかいませんよ。どうしてそんなこと言うんです?」

「だって、さっき人が来たときだけたくさん料理作るっておっしゃってたじゃないですか?」

「?・・・・・・・・・・・・」

「お皿だってたくさんあるし、いかにも女性の趣味で選んだようなテーブルクロスだし・・・」

「ははは。そんな人がいたら僕は自分の部屋に他の女性を入れたりしませんよ」

「ほんとですか?」

「ほんとですよ。お皿もテーブルクロスも全部まとめてIKEAで買ってきたんです。IKEAは僕にとっては遊園地みたいなもんです。あそこにいたら一日なんかすぐにつぶれちゃいます。あはは!」

「あはは!可笑しい!冨澤さんてやっぱり変わってる!」

博は圭子がだんだんと饒舌になってきているのを感じた。心なしか圭子の頬もほんのりとピンク色になっているような気がする。色が白くて、切れ長の眉毛がキリッとしていて宝塚の男役みたいな顔をしている。今までの博ならこういうタイプの顔は選ばなかっただろう。どちらかというとたれ目で幼い顔立ちの、天然っぽいようないわゆる可愛い系の女性が好きだった。でも、初めて圭子と会った時、てきぱきと動く圭子を見た時、博にズバズバと質問する歯切れのよい圭子と話した時、そして時折見せる“女”としての表情・・・全てが博の心を掴んでしまった。極めつけは歩道で転んで博の胸に飛び込んできた時のあの赤くなった顔。あの時からずっと圭子のことを忘れられないのだ。従弟の茂木は『今は付き合っているやつはいない』と言っていた。『部屋に来るぐらいだろうから圭子だってその気はあるさ』とも言っていた。そして『ガバッとやっちゃえよ!』と・・・・。

(ガバッとか・・・。ガバッとねえ・・・・。ガバッとなんかやったのはいつが最後だろう・・・。)

「あの~じゃあ、もう一つだけ変な事聞いていいですか?」

「え!何?!!」(あ~びっくり!)

「冨澤さんて婚活とかされてます?」

「え?!婚活?!」(もっとびっくり!)

「たとえば、お見合いパーティーとか、合コンとか、婚活バーとか・・・・・あと“結婚相談所”とか?・・・・」

「え?結婚相談所?!」

「そう、私の友人が結婚相談所に登録してて、私もよくお見合いパーティーとか合コンに誘われるんです。その彼女に届いた紹介状が冨澤さんによく似た人みたいだったから・・・」

「え~!ホントですか~!!!」(笑えないぐらいびっくり!)

「まさかですよねえ!そんな偶然があるわけないですよねえ・・・」

「・・・・・・・・・」

 

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博はふーっと、レントゲン写真を撮るときにするような長い深呼吸をしてこう言った。

「それは本当の話です。一度だけお見合いもしました。もちろんダメでした。最近は紹介状も見ていません。まだ入会して1か月ぐらいですけどね。ふふっ」

「・・・・・・・・・」

「でも、もう相談所はやめます。続けても意味がない・・・。あなたに会えたから・・・」

「!!!!!」

つづく

 

 

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エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載27回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・冨澤 博、都内で勤務するエンジニア。年収850万の独身イケメン、もうすぐ41歳。兵頭 圭子、出版社に勤務する38歳。気が強く涙もろいアラフォー女。出逢うべくして出会った二人の恋物語がスタートしたのである。今日は博の家で料理をご馳走になるといういきなりの“部屋デート”》

第5章  プロローグ⑤

「すいません、この人参の皮むきをお願いしてもいいですか?」

「あ、はい」

博の部屋に入ったときから、インド料理のようなスパイシーな香りが漂っていた。いろんな料理のレパートリーはあるらしいのだが、結局、博は一番自信があるカレーを選択したようだ。カレーに入れるスパイスも自分で買ってきて調合するらしい。12時前に博のマンションに着いたのだが、博は既にキッチンに立って忙しくしていた。ちゃんとエプロンまで付けている。

何もすることがなく、博の慣れた手つきを見ていたら『よかったら一緒に作りませんか?』と言われたわけである。

「人参は乱切りで、少々大き目でもかまいませんよ」

(人参の皮むき?この包丁でやれっていうのかしら?もしかして私の料理の腕を試してる?)

圭子もカレーは作るが、ここまで本格的ではない。ましてやスパイスを調合するなんて・・・。そんな面倒くさいことなんかしない。実家からたまに送ってくる野菜だって使いきれずに、そのまま腐らせてしまうのだ。

「あ、ごめん!ピーラーはそこの引き出しに入ってます」

引き出しを開けると、料理用のはさみやワインオープナーなどが綺麗に整頓されている。圭子の家のキッチンとは大違いだ。冷蔵庫もちらっと見たがたくさんの食材が、取り出しやすいように整頓されている。

「あのー、私そんなに料理はうまくないんですよ・・・。普段はなかなか料理する暇がなくて・・・。」

圭子は半ば自棄になって人参の皮を豪快に皮むき器を使ってむいた。ガリッ、ガリッと剥いたら皮にけっこうまだ身が付いている。見えないように三角コーナーの生ごみ入れに皮をそっと捨てる。

(もう、いいや!どうなったって。どうせ隠したってばれるんだから・・・)

「出版社の仕事って忙しいんでしょうねえ。でも兵頭さん、いつも楽しそうに仕事をされていて羨ましいなあ」

博は圭子の言い訳にはいつものようにニコニコと笑って答えるだけだった。博は圭子の切った小さくなった不揃いの人参を、何も言わずにボールに入れるとキッチンの戸棚から圧力鍋を取り出した。

「この圧力鍋大きいでしょう?けっこう昔から使ってるんですけど、頑丈に出来ていてとても重宝しているんです。煮えるのが早いから、カレーを早く作りたいときには欠かせないんです!」

そういうと博は牛肉の角切りを手際よく炒め始めた。

「今日はいつも作るポークカレーはやめてビーフにしました」

そこへワインを注ぎジャーッと勢いよくお肉が焼ける音がする。それから先ほど圭子が切った不揃いの人参や、セロリなどを束ねた野菜を一緒に煮込み始めた。

「野菜も溶けるぐらいまで煮込むんで大きさなんてどうでもいいんですよ」

「・・・・・・・・・・・・」

(それって気使って言ってくれたんだろうか?)

「あ、それからこの前言ったようにじゃがいもは入れません。じゃがいも入れたほうが良かったですか?」

「いえ!入れなくていいです」

(じゃがいもなんかどうでもいいわ。しかし何なの?この人・・・)

料理人でもない40歳を過ぎた独身男が、圧力鍋でカレーを作っている。しかもスパイスを調合して。片時も手を休めることなく、一方の手で料理を作りながら、空いた手で洗い物を同時にやっている。前回の取材でも感じたことだが、部屋はとても綺麗でキッチンも片付いている。やっぱりちょっと変わっている人なのかもしれない。

(お部屋の掃除も料理も洗濯も自分で出来るなら確かにお嫁さんはいらないわね)

圭子は何となく悲しい気分に襲われた。自分とは釣り合わない人なのかもしれない。

(私みたいな大雑把な人は向いてないだろうなあ・・・)

 

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それから1時間後テーブルの上には出来立てのカレーのいい匂いが漂っていた。いつの間にか作ったのだろうか、シーザーサラダやタンドリーチキンまで皿に盛ってある。

「カレーに入れたスパイスを使ってチキンを焼いてみました。香辛料が多すぎたから、ちょっと辛いかもしれないけど、召し上がって下さい」

圭子は朝から何も食べずに来たので、正直なところとてもお腹が空いていた。そこへこのカレーの食欲をそそるスパイシーな香り。

『頂きます』と言うなり、矢も盾もたまらずスプーンを口に運んだ。

(美味しい・・・)

博が作ったカレーはとてもサラッとしていて、スープのような食感なのだが、いろんな野菜やお肉の旨みが凝縮されていて深みがある。最初は甘く、後からじわじわと香辛料の辛みが追いかけて来る。牛肉を口に入れると舌の上でお肉の繊維がホロホロと溶ける。圭子は今までに食べたことのないようなカレーを味わっていた。

「いかがです?本当はインド風のカレーなんでお肉はチキンの方がいいんだけど、タンドリーチキンも食べたかったんで、変えてみたんです。チキンもどうぞ!ガブッとかぶりついちゃって下さい」

「本当においしいです!こんな本格的なカレーが食べれるなんて思わなかった。冨澤さんって本当にお料理上手なんですね!」

「たまに作るんで、お金かけていい食材ばかりそろえてるからですよ。誰にでも作れますよ」

博も一緒にカレーを食べながら、淡々と答えた。

「あ、ビール飲みますか?チキンにはビールですよね?僕はあんまり酒が飲めないんで気が付かなくて・・・・」

言うなり博は冷蔵庫から缶ビールと冷えたグラスを2つ持って来た。

「せっかくだから僕もちょっとだけ飲んじゃいます。ハハハ、何がせっかくなんだかわかんないけど・・・」

今日も朝から猛暑で、うだるような暑さだった。おまけに久しぶりに男一人の部屋に上がったのだ。緊張と暑さで喉がカラカラだった。正直なところ冷たいビールでも飲みたいところだった。博は冷えたグラスに上手に7対3ぐらいの割合で泡を注ぐとグラスを圭子に差し出した。

「じゃあ、カンパイしましょう!何にカンパイしようかな・・・。まあ、いっか。とにかくカンパーイ!」

「カンパーイ!」

(くーっつ!ビール美味い!って声出したらまずいわね)

乾ききった喉にビールの炭酸が突き刺さる。タンドリーチキンとの相性も抜群にいい。気が付いたらあっと言う間にビールを飲み干していた。

 

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「あ、ビールおかわりしますか?シャンパンもあるんですけど飲みます?」

コップ半分しか飲んでないのにもう頬が赤くなった博は、冷蔵庫からシャンパンを取り出した。

(シャンパン?!)

つづく

 

 

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