エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載25回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・アラフォーまっただ中の圭子に博。口下手な博だったが、圭子にだけは緊張することなく話せるのだった》

第5章  プロローグ③

茂木は会社のエレベーターホールですれ違いになった圭子を送り出し、デスクに戻り原稿チェックをしていると携帯が鳴った。

「義男さん、どうも、博です。今日は有難う御座いました」

「おう、博くんか!いきなり面倒なことお願いして悪かったな。どうだった?兵頭に聞いたらけっこう答えてくれたって言ってたが・・・」

「いえいえ。僕の方こそ、兵頭さんにご飯までご馳走になってしまって。ところであれって、やっぱり記事になるんでしょうか?僕なんて大した趣味でもないし、記事になるような珍しいこともしてないし・・・。それに顔写真が出るのはかんべんしてほしいんですけど・・・」

「相変わらず、控えめな男だなあ。大丈夫、心配すんな。せっかく頑張ってくれたんだが、今回のは記事にはならんだろう。多分、これは使えないなあ。君には悪いが・・・。まあ、少ないがお礼はさせてもらうよ」

「お礼なんていらないですよ。それよりお聞きしたいことがあるんですけど・・・」

「う?なんだ?」

博は取材が終わった日の夜にさっそく従弟の茂木に電話をかけた。従弟の頼みだけに断りきれずに、茂木が編集長を務める週刊誌の“趣味男の部屋”という企画記事に載ることになったのだが、よくよく考えてみるとどうしても恥ずかしくなってしまって、記事にするのを止めてほしいと頼んでみるつもりだった。というのは口実みたいなもので、本当のところは、取材に来ていた兵頭圭子という女性のことを、それとなく聞いてみたかったのである。

「・・・・・・・・・・・・」

「ふーん。そうか・・・。うちの兵頭のことだろう?」

「え?!なんで?・・・・」

「ははは、まあ君の性格からすれば大体察しが付くよ。圭子はいい女だぞ。ちょっと年は食ってしまったが、よく気が付くし女房にするならお薦めだ!」

「いや、そんな女房だなんて・・・。まだ、そんなとこまでは・・・」

「何、言ってるんだ。君はいくつになったんだっけか?もう42の本厄だろう?」

「いや、本厄は来年です。まだ40です。もうすぐ41になりますが・・・」

「41でも42でもどっちでもいいよ。早く結婚してお父さんを安心させてやれよ。結婚に失敗した親戚が言うのもなんだがな。わはは・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「うん。確か圭子は年は38だったかな。多分、今は付き合っているやつはいないんじゃないかな。あいつも仕事が趣味みたいなものだからなあ・・・」

「年齢は聞きました。実は今度、また僕のマンションに来てくれることになっていて・・・。」

「なぬ~!!」

確かに茂木が言うとおり、今回は自分でもよくしゃべったなと思う。なぜか圭子の前だといつもよりリラックスして自然に話せたのだ。もちろん圭子は取材などで人の話を聞くのが本職だから、聞き出すことについてはお手のものだろう。ただ、博には圭子が仕事だけで、取材をこなしているという感じには見えなかった。圭子が転んで博の胸に飛び込んできたときには本当にびっくりした。圭子も赤くなっていたが、自分も同じように赤くなっていたのではないかと思う。圭子の長い髪からは、桃を切ったときのような甘い匂いがした。携帯を忘れているのに気付いて、慌てて駅まで追いかけた。普段の博なら絶対にそんなことはしない。あのとき駅でまた会えたのは奇跡だったのかもしれない。女性と昼食を一緒に食べたのなんて何年ぶりだろう。そして、自然の流れでまたマンションに遊びに来てと言えた。最後はもう照れることもなく、しっかりと圭子の顔を見て。

「あの~いきなり最初からマンションに誘って料理を作るなんて言ってもよかったんでしょうか?」

「はあ?いきなりもくそもあるか!いいに決まってるだろう?圭子は来るって言ったんだろう?」

「はい」

「あ!やっぱり・・・。それで、あいつあんなに赤くなってたのか・・・」

「え?やっぱりって?」

「いい、いい。分かった!とってもいい傾向だ。博君、これは大事だぞ!もちろん何をすべきか分かってるよな?」

「何をするんですか?」

「何をするって君、あれに決まってるだろう?厄年を迎える男が、カレーなんか作って美味しいって喜んでる場合じゃないだろ?」

「いや、カレーにしようかビーフシチューにしようか迷ってるんですけど・・・」

「かあ~!ったく!そんなのどっちでもいい。料理なんてどうでもいいから、シャンパンでも飲んでさっさとガバッとやっちゃえよ!」

「え~ガバッとですか?ってもしかしてあれですか?」

「そう!もしかしてあれだよ!」

あれがあの事ぐらいはさすがに博だって分かる。

(え~!あれかあ!・・・・)

 

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一方、その頃圭子は、作家の勝木の行きつけの店にいた。勝木はやって来た圭子を見るなりこう言った。

「お前さん、何かいいことあったな?さては、男が出来たな?いい男か?あれは上手か?ハハハ!」

「何ですか!いきなり。男なんかできません!」

「いやいや、俺には分かるぞう?俺は女の肌の色つやを見ただけで恋をしてるかどうかが分かるんだ。ふふっ・・・」

会社を出るときに天然娘の松本も、『何かいいことでもあったんですかあ?』などと言っていた。

(やっぱり私って顔に出ちゃうのかな・・・)

つづく

 

 

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