エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説22 作 エンジェルおじさん

エンジェルさん、こんにちは。22

《前回までのあらすじ・・・・婚活中の博と圭子は運命的?な出会いを果たしたのだが・・・》

第4章  運命の赤い糸⑤

結局、Tシャツを着替えた博はその後も写真撮影を無難にこなし、圭子からの取材に受け答える。丁寧に言葉を選びながら答える冨澤にますます惹かれていく圭子だった。

「冨澤さんはたくさん趣味をお持ちのようですが、バイクはいつ頃から始められたのですか?」

「バイクに乗り始めたのは高校生の頃です。その頃はお金がなくてミニバイクしか乗れなかったのですが、大学の時に大型免許を取ってからようやく社会人になって念願のハーレーに乗ることが出来ました」

「住んでいらっしゃるところもけっこうなお住まいですし、バイク専用のガレージまで付いていて、おまけにハーレーも新車だとお聞きしましたが、相当収入がおありなんですね?」

「そんなことありませんよ。ここのマンションは相場からすると安い方です。ハーレーもローンですし、前のハーレーもいい値段で下取りしてくれましたから・・・。まだ幸い一人なんで自分の好きなことにお金を自由に使えますから。あれ?幸いっておかしいか。ハハ。まあ、バイクやカメラなどの趣味にはお金を使うけど、僕は着る物とか食べる物はどうでもいいんです。お酒もほとんど飲めませんから・・・」

博はふと、この前入会した結婚相談所のことを思い出した。(結婚したらもうこんなに趣味にお金は使えないだろうな)

「ご結婚する予定はないんですか?」(聞いちゃった!でも質問の流れからすればおかしくはないよね)

「結婚?!誰と?」

「いえ、誰とって、その・・・。今、お付き合いされてる方とか・・・」

「そんな人はいません」(婚活中だけど・・・)

博は伏し目がちに力なく笑った。圭子はその姿を見て何となく嬉しくなった。しかしどうしてこの年まで一人だったのだろう?という疑念がまたむくむくと持ち上がったのだった。(やっぱり女嫌いなのかも?)

「まあ、いつまでもいい歳してバイクってわけにもいかないんですけどね。そろそろ結婚もいいかなあって考えたりもするんですけど・・。はは、相手もいないのに・・・」

博は聞きもしないのにそんなことをぺらぺらとしゃべった。編集長から聞いていた感じよりはそこまで人見知りということもないような気がする。

「冨澤さんなら、カッコイイしモテるでしょう?本当はけっこうプレイボーイだったりして?」

「え!とんでもない!全然だめですよ。職場にも女性はほとんどいないし・・・。知り合うきっかけもない」(だから結婚相談所に入ったんじゃないか・・・)

横で聞いていたカメラマンの水田が口を挟む。それを冨澤はムキになって否定した。

「水田君!余計なことは言わないの!」そう言いつつも圭子はますます嬉しくなった。

それからまた写真を何点か撮り取材は終了となった。

「今日は有難う御座いました。原稿が出来ましたらまたお見せしますので、またご連絡しますね」

「どうもお疲れ様でした」

玄関先まで見送りに来た冨澤は、最初会った時に比べるとかなり笑顔がこぼれていた。

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次の現場に向かう水田と駅で別れてから、圭子は駅の1Fにあるコーヒーショップに入った。喉が渇いていたので冷たい物でも飲もうと思ったのである。店に入ってアイスコーヒーを注文してから改めて冨澤の事を考えた。

(どうしてずっと一人だったのかな。いくら出会いがないからと言っても、上司の紹介とか親戚の紹介とかもあっただろうに・・・。そういえば私にも伯母がまた縁談の話を持ってきてたっけ・・・)

運ばれてきたアイスコーヒーを飲みながらぼんやりしていると、ついつい冨澤の顔が浮かんでくる。転んで抱えられたときの胸の匂いをまだ覚えている。懐かしい匂いだった。子供の頃に嗅いだような記憶がある。

(やだ。これって一目ぼれ?勝木先生に言ったらまた茶化されるかな。あ、そういえば勝木先生に連絡しなきゃ!)圭子は編集長からの電話を思い出して携帯をバッグから取り出そうと探した。

(あれ?ない!?忘れてきた!?冨澤さんのマンションに?)

あわてて勘定をすませて外に出ると、ちょうど改札口の前に息を切らした冨澤の姿が見えた。

「あ、冨澤さん!」

「?!あ、間に合ってよかった。携帯忘れてましたよ!」

(やっぱり!これってもう運命の出会いとしかいいようないじゃん!)

「ありがとうございます!わざわざ持って来てくれたんですか?私、そこでお茶飲んでいたんです」

「そうだったんですね。ガレージに行ったら携帯があったので、あなたのだと思って・・・。駅に行けばいるかなと思って・・・間に合って良かった!」

また冨澤の顔から白い歯がこぼれた。

「冨澤さん、今日はこれから何かご予定はありますか?」

「?!え!いや、今日はもう休みだから何もないですけど・・・」

「よかったらお礼にお食事でもいかがですか?」

気が付いたら圭子はそんなことを言っていたのである。もう、チャンスは逃さないぞ。運命に逆らわず進もうと思った。これが私に向けられた運命の赤い糸だと真面目に考えたのである。

つづく

 

 

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