エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載26回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・運命の赤い糸が少しずつ手繰り寄せられ圭子と博は互いに惹かれていく・・・》

第5章  プロローグ④

「久しぶり!元気だった?」

しばらく連絡がなかった紗子から電話があったのは、圭子が博のマンションに遊びに行く前の日の土曜日だった。

「ねえ、聞いてくれる?もう、頭にきたわ!」

紗子は開口一番、興奮した声でまくし立てた。この女の挨拶はいつもこうだ。自分を軸にして地球が回っているとでも思っているのだろうか。

「どうしたのよ、いったい?」

「この前の婚活バーで知り合った男よ!」

「あー・・・。あれからどうなったの?会ってるの?」

「一度、会ったんだけどさあ・・・もう、とんでもないマザコン男なのよ!」

紗子の話によれば、婚活バーで知り合った男は尋常じゃないぐらいのマザコンだったらしい。年齢は45歳。家は代々続く、老舗の和菓子屋。20代で親が勧める見合いの相手と結婚したが、すぐに離婚。長年独り者の息子を見かねて取引先の業者が、たまたま婚活バーに連れて来たところを、紗子の毒牙にかかったというわけだ。前回、紗子とまた婚活バーで待ち合わせしたときも度々、席を立ち携帯に出ているようだったので、よっぽど忙しい人なんだろうと思っていたという。その後ドライブに誘われた時も、携帯に何度も電話がかかってきてはその都度、車を停車しては受け答えしていたらしい。『何かあったんですか?』と紗子も心配して聞いてみたところ、『いや、何でもありません。電話はおふくろなんです・・・』とついに白状したのだとか。

「それでさ、デートに何を持って来たと思う?・・・お弁当よ!信じられる?!」

「?!お弁当?・・・」

「そう。お腹もそろそろ空いてきたし食事でもしませんかって言ったらさ、僕はお弁当があるんでどっか外で食べましょうだって!たくさん作ってあるからあなたも一緒にどうぞだって!」

「・・・・・・・・!」

「しかも『おふくろの玉子焼きは世界一なんです』だって!ぜひ、君にもこの味を覚えてほしいって言って一切れ口に入れようとしたのよ!」

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電話を度々かけてきてたのは、道が間違っていないかとか、渋滞はしていないかとか、心配でたまらなかったらしい。その男の家は代々、女系家族でずっと婿養子をもらう家系だったのだが、久しぶりに男子が誕生し(兄妹は上に女ばかり4人)幼少の頃から母親や姉たちに異常なほどに可愛がられて育ったという。結局、母親の言うとおり指定された公園で、きっちりと時間通りにお弁当を食べたのだという。しかもそのお弁当は重箱に入っていて、お節料理のように黒豆や海老まで入っていたのだとか。少々のことでは動じない紗子だが、この重箱には開いた口が塞がらなかったらしい。公園でお弁当を食べているときもしょっちゅう携帯がかかってきていた。携帯の電源を切ればいいのに、それだけは出来ないのだろう。小声で『もう大丈夫だから、電話しないでよう・・・』という声がちらっと聞こえたのだとか。『帰りは道が混みそうだから、そろそろ帰りましょうか?』とそわそわする男に紗子もとうとうキレて、男を残して鎌倉から電車で帰ってきたそうだ。

 

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「もう、どうしてこう私がいいなあと思ってる男は変なのばっかりなの?」

圭子は聞いていて笑いをこらえるのに必死だった。確かに紗子は、顔立ちもいいし、美人なのだが男運だけは悪い。婚活、婚活と圭子を誘っては、パーティーや合コンに出かける肉食女だがなかなかうまくいかない。紗子が選ぶ基準は第一位が金持ちであること、第二位も金持ちであること、第三位はそこそこ顔もいいことである。要するに金持ちなら誰でもいいというわけではなく、ある程度自分につりあう顔でなければ妥協できないのだ。

「あーあ。もう、こうなったら誰でもいいわ。圭子の会社には誰かいないの?けっこう年収高いんでしょ?」

「うちはだめよ。いいなあと思うような男性はほとんど結婚してるわ・・・・・・・」

(あ、茂木編集長がいたわ!でも、さすがに編集長じゃあね。まあ、編集長の方も紗子みたいな女はいやだっていうかもね・・・ふふ)

「何よ?どうしたのよ?ところで圭子はどうだったの?誰かいい男と知り合えた?」

「ぜーんぜん!だめよ・・・」

『あなたはもっと真剣に婚活をしたほうがいいような気がしますよ。』という婚活バーで知り合った男から言われた言葉を思い出していた。婚活をしているのか、やらされているのか、そもそも自分は結婚がしたいのか?と自分自身が分からなくなったところで、編集長の従弟だという冨澤と知り合った。やっと素直に好きだなと思える人に巡り合えたと思った。しかも明日は博のマンションに博が作る手料理を食べに行くのだ。

(あ、明日何を着ていこうかな。美容室行っとけばよかったな・・・)

「もう、相変わらず圭子はのん気よねえ・・。そう、そう、私が入会している結婚相談所から紹介状が届いたのよ。41歳で年収850万。まあまあでしょ?顔もなかなかいいのよねえ。職業はエンジニアだって。すぐに、YESで返事出したんだけど、たぶん無理だろうなあ・・・」

「エンジニア?!」

「そう。竹之内豊みたいな顔してるのよ?競争高いだろうなあ・・・」

「!?・・・・・・・・」

つづく

 

 

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