エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説24回目 作 エンジェルおじさん

エンジェルさん、こんにちは。24

《前回までのあらすじ・・・・茂木編集長が紹介した従弟というのはアラフォーのイケメン。ちょっと、いや、かなりシャイな部分を除けば申し分ない。そんな博に一目惚れした圭子は・・・》

第5章  プロローグ②

「勝木先生、すみません、連絡が遅くなってしまって・・・」

「おう!久しぶりだな。元気か?とっくにタイから帰ってきてたんだが、あんまり暑いんで今度はしばらく北海道に行ってきた」

「相変わらず自由人ですねえ。いいなあ、北海道かあ・・・」

「ははは。何もすることがなくて退屈だから、今日こっちに帰って来たんだ。よかったらいつもの店に来ないか?土産もあるし・・・」

圭子は冨澤と食事をした後に、編集長からの電話を思い出し、作家の勝木へ携帯から電話したのだった。勝木の行きつけのイタリアンの店には夜の7時ごろ行くと伝えて、圭子はいったん会社に戻ることにした。

冨澤は今日はこれからバイクに乗ってどこか近場にでもツーリングに行くと言っていた。洋食屋の食事代も圭子が誘ったのに、冨澤は自分が払うといって譲らなかった。編集長に怒られますから、と無理やり圭子は自分で支払いを済ませたのだが、店を出たときに冨澤は圭子にこう言った。

「ごちそうさまでした。よかったら今度は僕が料理作りますんで、食べにきませんか?」

「?!・・・・・・」

「あ、いや、すいません!いきなり家に来たりするのはまずいかな・・・」

「いえ、そんなことありません。もう、さっき家にはおじゃましましたから・・・ふふ」

「そうですよね。なんか変な感じですね。僕のこともいろいろしゃべったし・・・。なんだかずっと前から知っていたような気分です」

そういうとまた屈託のない笑顔を見せた冨澤だった。結局、次の日曜日のお昼にまた冨澤のマンションに遊びに行くことになり携帯のメールアドレスを交換したのだった。

「僕の作った特製ポークカレーぜひ食べてくださいね!自分で特製っていうのもおかしいかな・・・」

(あれは何なんだろう?あの、少年のような顔は。まるで疑うことを知らないかのような今どきめずらしいような人だわ。しかしどういうつもりでまた家に誘ったんだろう?私に興味を持ってくれたのかしら?まさかね・・・)

圭子はあれこれ考えてみたが、冨澤の気持ちがつかめなかった。少なくとも嫌われてはないことは確かだ。久しぶりに胸の奥がきゅっと、締め付けられるような感覚を思い出していた。前に付き合っていた山形の彼のときもこんな感じはなかった。なんだかもっと前、そう中学生の頃の1年上の先輩。バスケット部のキャプテンで生徒会長。絵にかいたような初恋だ。圭子は自分でも可笑しくなった。

 

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会社に戻ってみると編集長の茂木はいなかった。今日は土曜日だが圭子がいる編集部は、締切も近いのでほとんどのスタッフが出勤している。茂木に従弟の冨澤のことをもっといろいろと聞きたかったが、いないのではしかたがない。とりあえず圭子が担当している記事をいくつか仕上げて、制作スタッフへ送るという作業を繰り返した。パソコンのキーボードを叩く手を休めるたびに、ついつい冨澤の顔が浮かんでくる。

(優しい人だということは確かだわ。本当に彼女がいないのかしら・・・)

あれこれと考えているといつのまにか勝木との約束の時間が近づいているのに気がついた。

(そろそろ行かなきゃ・・・)

「兵頭せんぱあい!何かいいことあったんですかあ?」

珍しく机に向かっておとなしく仕事をしていた松本が声をかけてきた。そう、いつか勝木の前で酔いつぶれていた天然娘である。

「別に何もないわよ。なぜ?」

「いや~、さっきからあ・・・時々顔を上げてえ・・・ニコニコしてるみたいだったからあ・・・。今日は彼氏とデートでもあるのかなあ~~って思ってましたっ!」

まったく天然のくせに、人のことはよく見ている油断のならない女である。

(本当にそんな顔してたのかしら・・・)

「デートなんかあるわけないでしょ!今から勝木先生のとこに行って来るから、編集長が戻って来たら伝えといてね」

「はあ~~~い!」

なんでこういちいち間延びしたように話すのだろう。普段なら一言二言注意したくなるところだが、今日はもうやめとこう。なぜかあんまり腹も立たない。1階のエレベーターホールに降りると、ちょうど外から入ってきた茂木と出くわした。

「あ、編集長!お疲れ様です。今から勝木先生のとこに行ってきます」

「お、そうか。よろしく言っといてくれ!」

茂木はビルの外でタバコを吸い溜めしたのだろう。身体全体からタバコの匂いが漂っていた。

「おい、ところであいつはどうだった?」

「え、あいつって?」

「博だよ。従弟の・・・。ちゃんと話してくれたか?」

「はい、全然大丈夫でしたよ。最初は渋ってましたけど、慣れたらけっこういろいろとしゃべってくれましたよ!」

「そうか・・・。ふーん・・・。」茂木は言うなりニヤニヤしている。

「どうしたんですか?」

「いや、あいつが女にそこまで馴染むなんて考えられん。お前のことが気に入ったのかもしれんな・・・。ハハ!」

「冗談はやめて下さい。そんなことあるわけないでしょ!」

「いや、いや、あながち違うとは言いきれん。お前はどう思う?ちょっと変わってはいるが人間はそんなに悪くないぞ。俺と違って真面目だし・・・。ハハハ!」

「もう、いいかげんにして下さい。編集長、時間ないんで私もう行きますね!」

圭子はなんとなく顔が赤くなったような気がして、後ろも見ずにビルの外へ飛び出した。

つづく

 

 

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