エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説 連載29回目 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・圭子に『婚活してますか?』と聞かれ、うろたえる博。そして『あなたに会えたから・・・』という返事にびっくりする圭子。倍返しだ!》

第5章  プロローグ⑦

「30代後半あたりからもう結婚なんかどうでもいいかなあ、なんて思うようになりました。悲しい話ですが・・・」

「それはどうしてですか?」

「どうしてだろうなあ・・・。まあ、簡単に言えば結婚したいと思える人に出逢えなかっただけなんだけど・・・。なんだか面倒くさくなっちゃうんですよねえ。人を好きになったり、付き合ったりすることが・・・」

「・・・・・・・・」

「あなたはどうです?」

「え?!何が?」

「あなたも婚活してますか?それとももう誰かいるんですか?」

「誰もいませんよ。いたら男の人の部屋に一人で来たりしません。さっき冨澤さんが言った事と同じですよ。ふふっ!」

「あはは。確かにそうだ」

食事が終わった二人は、ダイニングテーブルからソファに移りくつろいでいた。ゆったりとしたソファは3人掛けの大きなものだ。これもきっとIKKEAで買ってきた物だろう。部屋の中央には大型テレビもスピーカー付きで据えてある。ゴルフの中継が流れているが、音が大きいので最小に絞ってあるようだ。それでもゴルフ場の蝉の鳴く音まで臨場感たっぷりに聞こえてくる。当然、圭子の部屋と比べてもかなり広い。博はいつもこのソファで一人でテレビを見てるのだろうか。

(まあ、私も一人で部屋でビール飲んでるけど・・・)

「私も冨澤さんが言ってることよく分かります。私もさっき言った友人に誘われて、合コン行ったり、婚活バーに行ったり・・・。婚活、婚活ってなんだか面倒になってしまって・・・。いったい何のために婚活するんだろう?そもそも私は結婚したかったのかどうかも分からなくなってしまいました」

「・・・・・・・・・・・・」

「だから私ももう婚活なんかやめることに決めたんです。確かにお見合いパーティーや、合コンで理想の人と結ばれる人もいるでしょうけど、私には向いてないことがわかりました」

「じゃあ、あなたは結婚はまだ先の話だと?」

「い~え!結婚はします。結婚したいと思います。でも、いついつまでに相手を見つけて、何か月付き合って1年後には式を挙げて・・・・みたいな婚活はやめようと思ったんです」

「・・・・・・・・・・・・」

「つまり、普通に出逢って、普通に付き合って、普通に結婚する。そんな出会いなんて今の時代には無理だってことも分かってます。でも、私はいくつになってもそれでいいと思うんです。結婚したいなあと思う人が出来たら、自然の流れにまかせる。でも、いよいよの時は自分からでもアタックする。本当に好きになった人と結婚したい・・・って、こんなこといい年して語ってる場合じゃないんですけどね。へへ」

「・・・・・・・・・・・」

圭子はいつもより多弁になっている自分に気づいた。シャンパンの酔いが回ったのだろうか。いや、そんなことじゃない。沈黙してしまうのが怖いからだ。さっき博が言った言葉。『あなたに会えたから・・・』ってどう取ればいいのだろう。『あなたに会えたから結婚相談所はやめます』つまり結婚の相手はあなたに決めましたってことを言ってるんだと思う。何て返事していいのかわからない。ずっと黙っていたら心臓の音まで聞こえてしまいそうで怖い。

(いきなり最初から男の人の部屋を訪ねて来るなんて・・・。軽い女なんだって思われたりしてるかなあ)

「圭子さん!!」

突然、博が立ち上がった。

「ハイ!!」

びっくりして圭子も声が裏返った。

「こ、ここから見る、け、けしきは、さ、さいこうですよ!」

「ハイ?」

「ここからちょうど正面に東京タワーが見えるんです!」

「はあ」

圭子は博の立つ窓へ近寄った。

「ほら、あそこ!」

 

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確かに博の言うとおり、指で示す先には東京タワーの赤い鉄塔が見える。が、そんなに大きく見えるわけでもない。と思った矢先、博の手は圭子の肩に回っていた。さっきは緊張のあまりぎこちない声だったのに、この手は自然に動いている。

(いや、ちょっと震えてるかな?)

圭子はだんだん冷静になっていく自分と、博を挑発してみたい自分がいることに気づいた。

(来るかな?)

圭子が先に目をつぶるやいなや、博の顔がぶつかった!

ガチッ!!

そう、ぶつかったのだ。正確には“歯”がである。

「イテッ!」

「痛いっ!」

二人とも同時に悲鳴を上げる。そして、お互いに顔を見合わせゲラゲラと笑う。しばらくの間、笑いが止まらない。こんなに笑ったのは久しぶりかのように・・・。

「博さん」

「はい!」

「ソファにゆっくり座りましょう!」

「そうですね!」

(コラ、立ったまんまガバッといくやつがあるか!しかもお前のはガバッじゃない、ガチッだ!まあ、いい。後は兵頭にガバッとやってもらえ!わはは!by茂木編集長)

『〇〇選手、このホールもイーグルです!以前、1位をキープしています!』というアナウンサーの声が大きく聞こえたような気がした。8月もそろそろ終わりだというのに、今日も猛暑日の夏のことである。

つづく

 

 

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