エンジェルさんこんにちは。 婚活小説 連載3回目

《前回までのあらすじ・・・・・友人の紗子に誘われ4対4の合コンに参加した圭子は、全く恋愛対象にならない男たちを目の当たりにして、来なければよかったと後悔し始めていた。》

コンカツ定食?!

「はい、じゃあ次は女性陣の自己紹介です!まず私から・・・名前は松田美由紀です。趣味は映画を観ることと、お料理でーす。最近はお菓子作りに凝ってます!特にケーキとかあ、意外と奥が深いんですよ!この前はチョコレートケーキを作ったんですけどお、作りすぎちゃってえ、たくさん残っちゃいましたあ。誰か食べてくれる人がいないかなあって、いっつも思ってまあす。杉本さんとかあ、甘いものは好きですかあ?・・・・」

 

「コホン。ちょっと、美由紀さん、自己紹介が長いんじゃなくてえ・・・。」

紗子がイライラしながら横から美由紀を遮った。

 

「あ、ごめんなさあい!美由紀、いっつもこんな調子で失敗しちゃうんです。こちらは大学の“大先輩”の小島紗子さん。」

 

「大先輩ってほど、そんなに年は離れてないんですよお。小島紗子って言います。よろしくお願いします。私も、美由紀さんと同じで料理を作るのが好きです。得意な料理はビーフシチューです。煮込み系の料理も奥が深いんですよ。最近はいろんなレストランで食べ歩きして、味を研究してます。でも女独りでレストランとか行きにくいんですよねえ。誰か一緒に食べ歩きしてくれたらなあって思います。杉本さんはお料理では何がお好きですか?やっぱり洋食かしら?お肉とお魚ではどちら?・・・・」

たまりかねた美由紀が、

「先輩、そろそろその辺で・・・」と恐る恐る口を開いた。

「あら、私としたことが、ごめんなさい。オホホ・・・。」

紗子はわざとらしいほど、品を作っている。上目使いの眼元がとても滑稽に写る。圭子はその顔を見ていてまた何となく惨めな気持ちに襲われた。心の中で溜息をそっとつく。

 

「えっと、お隣りの先輩が・・・確か・・・・。」美由紀とは1回しか会ったことがなく、多分、私の名前なんて覚えていないのだろう。横で紗子が私の足をつついた。

「あ、兵頭圭子です。よろしくお願いします。」

「ちょっと圭子、それだけ?!もうちょっとなんか言いなさいよ。趣味とかなんとか・・・。」

紗子が小声でささやく。

「趣味なんか何もありません。しいて言えば趣味は仕事です。」

さっさとこの場を切り上げて立ち去りたい圭子はついつい声が荒くなる。男たちが、固まっているようだ。

 

「えーと・・・。じゃあ最後に私の友人で、斉藤茜。合コン初デビューでーす!あかねちゃん!自己紹介しなさい。」

「・・・・こんばんは・・・・。斉藤茜といいます。趣味は読書です。図書館で働いています。よろしく・・・お願いします。」

消え入りそうな小さな声で、茜と呼ばれる女が話した。真横で見てみると、本当に化粧っ気がまったくなくうっすらとそばかすがある。しかし、よく見るとまつ毛が長く目も大きく愛らしい顔をしている。私が男なら、友人の美由紀や紗子よりも絶対こっちを選ぶだろう。

 

「あかねちゃんも人数合わせで連れてきました~!キャハ!」美由紀が憎たらしいことを言ってる。私が社長ならこんな女絶対にクビにしてやるとこだ。

「さ、さ、“たちまち”カンパイしましょ。あ、”たちまち”って広島弁でとりあえずって意味なんすよ。あ、俺、広島出身なんすけど、ときどき広島弁が出るんよ。わしゃー広島じゃけえのー・・・。菅原文太みたいでしょ?へへへ。」

浜田という男は相変わらず、面白くもない冗談ばかり言っている。圭子は適当なところで切り上げて帰ろうと思っていたが、半分自棄になりもう少し様子を見てみることにした。会費もしっかり割り勘で5千円も取られているのだ。

(料理だけでも食べて帰ろう。)

 

浜田と田中は生ビール、杉本はワイン、遠藤はお酒が飲めないらしくノンアルコールのビールを注文した。一方、女の方は紗子と美由紀が杉本と同じワイン、私と茜がハイボールを頼んだ。

紗子は「私もあまりお酒は強くないんですけどお・・・。今日は杉本さんと同じワイン飲んじゃいます!」などと、相変わらず一昔前の「ぶりっ子」のようなことを言っている。何がお酒は強くない?だ?ザルのくせに。いつだったか二人で、生ビールを5杯ずつにワインを2本、焼酎を1本空けて、最後に入った締めのラーメン屋でまた瓶ビールを3本注文しただろが。

「じゃあ、みんな飲み物は揃いましたか?“たちまち”カンパーイ!」

「かんぱーい!」

「たちまち、かんぱーい!」

「杉本さんもたちまち、カンパーイ!」

a0002_008487浜田の変な訛りの音頭で、4対4の合コンがいよいよスタートしたのであった。

 

 

「ひょ、ひょ、ひょうどうさんは、お仕事は何をされているんですか?」

いきなり私に声をかけてきたのが、目の前のムキムキ男の田中だ。そんなに酒は強くないのか、顔が真っ赤になっている。

「仕事ですか。出版社に勤めてます。」

「兵頭さん、笑っちゃうでしょ。こいつ。緊張すると少しどもっちゃうんですよね。おい、田中、お前緊張しすぎやろ?それになんだ鼻の下。鼻くそがついてるぞ!」

また、浜田が横から口を出す。

「あ!あわわ。」

 

田中はあわてておしぼりで顔を拭いている。案の定、鼻くそだと思われたのは、カミソリで切った血の塊りだったようだ。おしぼりの熱で溶けたのか、塊りは取れたがまた少し血が噴き出している。おしぼりが見て分かるほど赤く染まっている。その光景を見た、浜田は、「お前、今度は鼻血出てんぞ!どんだけ溜まってるんだよ!体ばっかり鍛えてないで、たまには抜いてこいよ!」とからかった。美由紀と紗子が口々に「もうー!いやだあ!」などと騒いでいる。田中はよっぽど恥ずかしかったのか、「ちょっとト、ト、トイレに行ってきます」と慌てて席を立った。だんだん腹が立ってきた私はついに浜田に向かって言ってしまった。

 

「浜田さんでしたっけ?あなた、ずいぶんとひどいことを言うのね!」

つづく

 

 

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