エンジェルさんこんにちは。   婚活小説 連載2回目

《女子高時代の友人の紗子に誘われ合コンに参加した圭子は・・・》

コンカツ定食?!

「先輩たち、こっちに座って下さい。あ、亜紀ちゃんは一番年下だからこっち来て!」

美由紀が声をかけた亜紀という女が、うつむきながら静かに席を立った。美由紀の友人にしては、地味な服装をしている。きっとこの友人も無理やり誘われて来たのだろう。押し黙ったまま、亜紀という女の子は入り口近くの席へ移動した。

「大変、お待たせしました!先輩たちも到着しました。」

「すみません!遅くなっちゃってえ・・・。こちら友人の兵頭圭子さんです。私、小島紗子と・・・」

紗子が先ほどとは打って変わって、1オクターブぐらい高い声で言いかけたところで、

「あ~自己紹介はまた改めてということでたちまち席に座って下さい。」奥から2番目の男が立ち上がった。どうもこの男がリーダー格らしい。

「じゃ、みなさん揃ったところで自己紹介といきますか!じゃあ、まず俺から。名前は浜田浩介、ハマコーと呼んで下さい。政界の暴れん坊、俺の息子も暴れん棒!なんちゃって!ハハ!ハハハ!・・・」

「あはは、浜田さあーん、面白い!」美由紀がすかさず合いの手を入れたが、他の友人たちは毎度のことなのか、ニコリともせずしらーっとしている。

「んでもって、俺の隣にいるこっちが、杉本隆弘、親のあとを継いで個人病院の医者やってます。」

浜田という男が紹介した、右奥の縦じまのスーツを着た男が、紗子が言っていた医者らしい。見た目は、色白でひ弱そうな感じだが、銀縁のメガネがいかにも神経質な雰囲気を醸し出している。圭子は一目見て、嫌なタイプだと思った。

いかにも医者を鼻にかけたような、人を見下した目つきをしている。虫の好かないタイプとはこういう人のためにあるのだろう。適当なところで、仕事が入ったとか言って抜け出そう。

「おい、杉本、お前も何か言えよ。」

「あ、ああ。みなさん今晩は。杉本と言います。趣味はマリンスポーツかな。スキューバからサーフィンまで一通りはやってます。一応、クルーザーも持ってますんで、今度、船上パーティーにでもご招待しますね。」

「きゃー!クルーザー!?すごおーい!」また美由紀が黄色い声を上げるやいなや、紗子もここぞとばかり割り込んでくる。

「杉本さあーん。私も海が大好きなんですう!スキューバダイビングもやってまあす。ぜひ、一度クルーザーに乗せて下さあい!」

紗子は愛人時代に社長と一緒に沖縄に出かけ、スキューバダイビングをちょっとだけかじったことがあるらしいが、「あんな魚なんか見てどこが面白いのよ!二度と海なんか行かないわ!」と恵子に話していたことがある。どうも社長とのお忍び旅行がばれて、いきなり沖縄のホテルに本妻が現れたそうだ。社長は紗子を沖縄に置き去りにしたまま、本妻と帰っていったらしい。それから1週間はホテルから一歩も外を出ず、シャンパンやらワイン、料理をルームサービスで部屋に運ばせ、酒浸り、贅沢三昧の日々を過ごしたのだとか。もちろん支払いは社長に全部回したらしい。

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杉本に注目が浴びたのが面白くないのだろう。浜田もすかさずに横やりを入れる。

「医者なんか変わりもんが多いっすよ~!こいつの家は先祖代々医者の家系らしいけど、オヤジも無愛想な人で、昔、家に遊びに行ったときもろくに挨拶もしてくれませんもんねえ。まあ、合コンやるときに医者の友達がいると女の子がすぐに集まるんで重宝してるんすよ。あんたらも医者に惹かれて来たんじゃろう?へへへ?」浜田が薄ら笑いを浮かべた。

「次に俺の隣のこっちが、田中良一。S県警の交通機動隊にいます。暇さえあればベンチプレス持ち上げている筋肉バカです。」

浜田が次に三番目の男を紹介した。

「みなさん、こんばんは!田中です!今日はど、どうぞ、よ、よ、よろしくお願いします!」

田中という男がやたらと大きな声で挨拶した。緊張しているのか少し声が裏返ったようだ。浜田の言うとおりTシャツから覗く胸板も厚いし、二の腕も筋肉が隆々としている。頭も角刈りにしていて、顔の髭剃り跡が青々としている。出がけにカミソリで剃って来たのだろう。鼻のちょうど下のあたりに、切りすぎたのか血のかたまりが出来ている。恵子はそれが鼻クソのように見えて思わず吹き出しそうになった。

「はい、男性陣は以上のメンバーです・・・・・。・・・・・って、遠藤、そこでお前は突っ込めよ!まだ、俺がいるって!」

「・・・?!あ、はい!まだ・・・俺がいる・・・。」

「遅いよ!もういいよ。お前は。今日はずっと黙って飲んでろ!」

「・・・・・・。」

「こいつは遠藤博之。趣味はアニメと鉄道。典型的なオタク。今日は人数合わせで連れてきましたあ!ハハハ!」

「ハハハ、浜田さんひどーい!もうーウケるー!」紗子が相変わらず調子よく相槌を打っている。

遠藤と呼ばれた男は、すこし小太りの男でしきりと汗を拭いている。傍らには何が入っているのか、パンパンに膨らんだリュックサックが大事そうに置いてある。浜田の言うとおり秋葉原によくいるオタクそっくりだ。TVでやっていたAKB48の番組に出ていた親衛隊にも似たような男がいたような気がする。まあ、医者の杉本よりは、まだこっちの方がいい。

圭子はつくづく来なきゃよかったと思った。自分がこの場所にいることが、恥ずかしいやらみじめやらで情けない気持ちになってくる。(紗子には悪いけど、絶対に途中で帰ろう・・・。)

つづく

 

 

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