エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説⑮ 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・・・兵頭圭子38歳。出版社勤務のキャリアウーマン(死語)友人の紗子に触発されて婚活に少しずつ興味を持ち始めたのだが・・・。》

 肉食女と草食男③

「しっかりご飯は食べてるのかい?ちゃんと野菜も食べなきゃだめよ。」

「分かってるわよ。でも一人なんだからそんなに食べれないのよ。」

「ところで、あんたお盆は帰って来るんだろう?」

「分からないわ。何もなければ帰るつもりだけど。」

相変わらず母はこまごまとうるさい。一人娘の圭子がまだ結婚もせず都会でいつまでも独り暮らしをしているのが心配でたまらないのだろう。母に比べて父は大雑把な性格であまり細かいことは言わない。圭子は父に似たのだろうと思う。酒が強いのは母方の方に似たのだが。

「また、見てもらいたい物があるんだけど・・・。」

「何よ?またお見合い写真じゃないでしょうね?」

「今度は学校の先生らしいのよ。とっても真面目な方なんだって。」

「また?!どうせまた美津子伯母さんが持ってきた話でしょ?もう断っといて。」

美津子伯母さんというのは父の姉で、よく実家に来ては圭子に縁談の話を持ってくる。お茶に生け花、書道に琴とたくさんの免状を持ち、お弟子さんをたくさん抱え、70歳を超えた今でも元気に教室を開いているそうだ。地元の名士や市会議員等にも顔が広く、ボランティアで仲人のようなことをやっているらしい。今ではまとめた縁談も100組を超え、“町の世話焼きおばさん”として市から表彰までされているのだとか。

何度か圭子も写真だけは見たことがあるのだが、どれもこれも印象の薄いパッとしない人ばかりだった。

「せっかく美津子義姉さんが心配して持って来てくれてるのに、悪いじゃないの。」

「だって、お見合いなんかする気ないもん。まだ仕事続けたいし。」

「とにかく帰ってきたら写真だけは見なさいよ。」

「はいはい。帰れたらね。」

適当なところで電話を切らないといつまでたっても、冷たいビールが飲めない。圭子は半ば強引に電話を切ると、冷蔵庫からビールを取り出し、プルトップを引くなりそのまま口に流し込んだ。

「かあ~!うまいっ!」

カラカラに乾いた喉に冷たく冷えたビールが染み渡る。誰もいないから、こういうオヤジみたいなことも出来ちゃうのだ。

(結婚したら下着のまんま、ビールなんか飲めないだろうな・・・。)

「はあ~。」

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圭子は深くため息をつくとトマトスライスを“作り”にキッチンへ立った。この場合“作る”とは言わないのだけれど。基本的に料理を作ったりするのが苦手なのだ。大体、一人暮らしの場合にはご飯を炊いたり、おかずを作ったりしても絶対に食べきれない。結局、捨てるかラップに包んで冷凍庫に入れてしまう。今回、玉ねぎとじゃがいもまで送って来てるのを見て、またカレー作らなきゃなどと考える圭子だった。まだ、前のカレーが2パックも残っているというのに。

(カレーを冷凍保存するときは、じゃがいもは入れちゃだめね。スカスカしておいしくなくなるから。)

そんな余計な知識だけは一人前なのだけど。

シャワーも浴びて、テーブルにはトマトスライス、モロキュー、チーズにサラミとおつまみ系ばかり並べて、3本目のビールをグラスに注ごうとした時に今度は圭子の携帯が鳴った。

「あ、私。紗子よ。もう帰ってた?例のコンカツバーに行ってきたわよ!今度一緒に行きましょ!」

「え~!」

「絶対に今度は間違いないわよ!それが、けっこういい男が来てたのよ。」

「どんな人なの?」

「そうねえ、30代と40代がほとんどかな。けっこうみんなそれなりにレベルの高い人が来てたわよ。」

「ふーん。」

「とにかく来週の金曜日空けといて!私も今日知り合った人とまた会う約束しちゃった!」

「え~!!!」

つづく

 

 

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