エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説⑯ 作 エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・・アラフォー女(死語になりかけ)の圭子はついに友人の紗子に誘われコンカツバーに行くことになったのだが・・・。》

 第三章 肉食女と草食男④

その来週の金曜日は意外に早くやってきた・・・ような気がする。圭子はいつものように「行けそうだったら行くわ。」ぐらいの軽い返事ですませていたのだが、そんなときに限って仕事も案外早く終わったりする。あれから作家の勝木も何も連絡してこない。とっくにタイから帰って来ているはずなのに。次の原稿も郵送で送ってきているので、特にこっちから連絡するようなこともないのだが。圭子は久しぶりに勝木のくだらない冗談でも聞いてみたい気分だったのだが、電話はかかってこなかった。結局、六本木の交差点で待ってるからという紗子の半ば強引な誘いを断れずに地下鉄に乗ったのである。

(またこの前みたいな変な男ばかりだったら帰ればいいんだから・・・。)

圭子は自分に言い聞かせながらも、紗子の電話口の興奮したような声を思い出していた。

「今度こそ間違いないわ!けっこうレベルが高い男が来てたのよ!私、その人とまた会うって約束しちゃった!」

約束の19:00には六本木の交差点に着いたのだが、紗子の姿がどこにも見えない。夏休みに入った金曜日の夜は、学生風の若者がたくさんたむろしていた。夜になってもまだ暑い。昼間、太陽の熱をたっぷりと蓄えたアスファルトが夜になるとじんわりと放出しているかのようだ。圭子は額の汗をハンカチで拭いながら携帯電話をバッグから取り出そうとした時に背後から声がした。

「お待たせ!ごめ~ん!遅くなっちゃった。」

見るとタクシーの中から大きな声で呼ぶ紗子がいた。

「ごめん、美容室が時間かかっちゃって・・・。」

息を弾ませながら紗子がやって来た。また、今日は一段と気合が入っている。胸の大きく開いたサマードレス。ヘアースタイルはカールで大きく盛り上げている。

(レッドカーペットでも歩くつもり?!)

「行きましょ!場所はすぐそこ。」

「また、今日は一段とすごい恰好してるわね?」

「当たり前じゃない!今日は勝負かけるわよ。」

紗子は仕事柄、洋服もたくさん持っているし、メイク、美容にもお金を惜しまない。元々、土台が綺麗な方だとは思う、が、やり過ぎて失敗しているような気がする。もっとナチュラルでいいのに、と圭子は思うのだ。

『シングルズ・バー パープル 六本木』と書かれた看板があるビルの5Fにその店はあった。会員制というプレートが扉に貼ってある。店の中は照明がほの暗く、細長い作りになっている。カウンター席にテーブル席、ソファー席もある。圭子達が店に入ったときは、まだ客もまばらで女性が何人かいるだけだった。紗子は一度来ているので、入会登録は済んでいるらしく圭子だけソファ席に通され会員登録に必要な書類を渡された。会員制ということは、客になるにはまず会員登録をしなければならないらしい。圭子は、大体の話は紗子から聞いていたので、そんなに変な店ではないだろうとは予想はしていたのだが、個人情報まで記載して入会することが何となく面倒な気分になっていた。書類には注意事項として「独身者であること」「彼女、彼氏がいる方はご遠慮下さい」と書いてある。彼氏、彼女がいたって独身なんだから参加してもいいんじゃないかと圭子は思うのだった。一通り手続きが済んだところで、紗子がいるテーブル席へ案内された。

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いつもなら既に酒をガブガブ飲んでるはずなのに、今日はカンパリソーダのようなものを口もつけずにおとなしくしている。

「ねえ、ちょっと。ここの飲み物とかの支払はどうなってるの?」

「大丈夫よ。女性は全部タダよ。男性が払ってくれるシステムなんだって。2回目からは女性もテーブルチャージがかかるらしいけど。」

「ちょっと紗子、いきなり私1対1で話したりするのはいやだわ。最初はあなたも一緒にいてよ。」

「大丈夫よ~。そんな変な男はいないわよ。けっこう紳士が多かったわよ。」

そう言われてみれば、いつの間にか男性客がいる。30代から40代ぐらいの会社帰りのサラリーマン風の男がかしこまって座っているのがちらほらと見える。

「私、今日はこの前の人と、この後どこか行くかもしれないから帰りは別々でね。」

「いいけど、その人はいつ来るのよ。」

「わからないわ。8時ぐらいだと思うけど。」

その時、店のスタッフが紗子たちがいるテーブルに近づいて来て声をかけた。

「お二人組で来られている男性がいらっしゃいますが、よかったら奥のテーブルで4人でお話しされませんか?」

紗子は少し考えていたが、前に約束していた男もまだ来ないし、圭子にも早く雰囲気に慣れさせようと思ったのだろう、圭子の手を引っ張って奥へと移動した。

「こんばんは!」

「こんばんは!」

スーツ姿の男性二人がほぼ同時に立ち上がった。

つづく

 

 

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