エンジェルさん、こんにちは。 婚活ブログ小説39回目 作エンジェルおじさん

《前回までのあらすじ・・・ついに博から結婚してほしいと言われた圭子は・・・》

第7章  プロポーズ③

台風の接近と共に雨は一段と強くなっていった。雨に濡れた二人はマンションに戻って熱いシャワーを浴びたあとでベッドに潜りこんだ。博はお風呂を沸かそうか?と言ってくれたが圭子はシャワーでいいと答えた。バスタブにお湯を張る時間が待てなかった。博も同じ想いだったのか、二人は言葉もなくひたすら愛し合ったのだった。二人は、二頭のイルカが戯れるように、いつまでも肌を重ねた。そして泳ぎ疲れて少し眠った。圭子が目を覚ましたときに、博は腕枕をしながら圭子の髪を撫でていた。

「ごめんなさい。私、どれぐらい寝てた?」

「30分ぐらいだよ。まだ寝てたらいいのに・・・」

「なんだかすごく眠かったわ。疲れてるのね。私、鼾かいてなかった?」

「うん、けっこうすごかった。ゴーゴーいってた」

「え~!ホント?ごめんなさい!うるさかった?」

「はは!うそうそ!スースーと寝息ぐらいだったよ!」

「もう!ひどい!」

「ごめん、ごめん」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「さっき、圭子がこれで終わりねって言われたときに返事が出来なかったのは、君の仕事のことを考えたからだよ」

「仕事?」

「そう。君にだって仕事はあるし、そう簡単には辞められないだろう?ましてや君は今の仕事を生き生きとしてやっている。しかも、タイミングよく新しい雑誌の編集長の話だなんて・・・。それっていい話なんだろう?」

「・・・・・・」

「僕は考えたんだよ。自分の転勤のせいで、君の仕事まで辞めさせてしまっていいものかって。しかもすぐに海外にまで連れていくなんて・・・」

「・・・・・・」

「それに君の返事がNOだったらと思うと怖くて、なかなか切り出せなかった。ごめん。意気地がなくて・・・」

「ううん。私こそ冷静になれなくてごめんなさい。てっきりお別れの話だと思って、最後まで聞く勇気がなかった・・・」

「今度こそ、ちゃんと言うよ。圭子、僕と結婚してほしい。まだ付き合い始めて半年も経っていないけど、僕は君のことが好きだよ。君が傍にいない人生は考えられない。ずっと独りで生きてきて、独りきりの暮らしもそんなに苦ではなかった。むしろ独りの方が気が楽なことのほうが多かった。でも、あるカップルを見て、二人で支え合って生きていく人生もいいと思ったんだ。急に嫁さんがほしくなって、結婚相談所にも入会した。お見合いもしたよ・・・」

「お見合いしたの?!」

「うん、ダメだったけどね。はは。すぐにご紹介がまた来てたから、まだまだこれからお見合いは出来ていたかもしれない。でも、僕はすぐに君に出逢った。君に出逢ったときに、『あ、僕が一緒になる人はこの人だ!』って思ったんだ。」

「私も相談所には入会しなかったけど、合コンしたりコンカツバー行ったりいろいろやったわ。きっとあのままだと、紗子と同じ結婚相談所に入会していたかもしれない。あ、今日会った紗子と彼も結婚相談所で知り合ったんですって!紗子もなんだか幸せそうだったな」

「そうなんだ。婚活始めようと思って、結婚相談所に入会したらちょっと考え方が変わったような気がする。今まで、結婚も漠然としか考えていなかった。でも、君と出逢ったときに、このチャンスを逃しちゃだめだって。好きだっていう気持ちを正直に伝えようって。そう意味では高いお金払って、相談所に入会したのもいい経験になったかな」

「わかるわ。私もコンカツバーである男の人に言われたわ。『君は真剣に婚活していない!』って。あれから、私も何のために結婚するのかな?なんて難しいこといろいろ考えたんだけど、結局、好きな人と結婚すればいいって気づいたの。当たり前の話なんだけど。つまり、結婚相談所でも合コンでもコンカツバーでも、好きな人と出会ったら結婚すればいいのか!って思ったの。そう考えて吹っ切れたときに貴方に出逢ったの」

「・・・・・・・」

「覚えてる?そこのマンションの前の横断歩道で転んで、貴方に抱えてもらったときのこと?」

「もちろん。あのときはびっくりしたなあ。でも、あれから僕も何か意識しちゃった。思えばあれは一目ぼれだったのかもしれない」

「実は、私も貴男の胸に飛び込んだときに、『あ、私の結婚する人はこの人だ!』って思ったの・・・。貴男の胸の匂いが、とても懐かしいような匂いがしたわ」

「懐かしいって?どんな匂い?」

「そうねえ・・・。何ともいえないの。ただ、昔、嗅いだことがあるような、懐かしい匂いよ。しいていえば実家の町にあったアイスクリーム工場のような匂いかな・・・」

「え?!アイスクリーム工場?!それってどんな匂い?自分じゃわからないなあ。嫌な匂い?」

「ううん、ちっとも。むしろ私は好きな匂いよ」

「それならよかった」

「ハハハハハ」

「ふふふふふ」

 

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「ねえ、博さんもう一度ちゃんと私の目を見て言ってくれる?」

「え?何を?」

「何をって、さっき言ってくれたこと・・・・プ・ロ・ポ・-・ズ・・・」

「・・・・・あ、わかった。・・・・コホン。じゃあ、いくよ。圭子、僕と結婚してくれるかい?必ず幸せにするって誓うよ」

「・・・・・・・・・・」

「あ、もちろん。すぐに、返事は無理だろうから、ゆっくり考えてくれていいよ。君にも仕事の都合もあるだろうし・・・。いや、あんまりゆっくり考えてもらっても困るんだけど・・・はは・・・」

「博さん!喜んで御受けします。こんな私でよかったら、どうぞ末永く、宜しくお願いします」

「ホント?!ホントに?」

「もちろんよ!」

「じゃあ、仕事はどうするの?」

「辞めるに決まってるじゃない。貴男と一緒に暮らすわ!」

「ホント!ヤッター!」

「うふふ!子どもみたい!」

「あはは!」

2013年、おそらくその年、最後の台風が近づく秋の夜のことである。

つづく

 

 

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