北九州にいた頃、職場に山口県の友達に『山口は、なんにもない所っちゃ。』と言われた事がありました。キッパリとそう言い切った彼女の言葉に、私は疑いの念を持たず、山口は何もない所、そういう固定観念がしっかりと植えつけられていました。福岡とは関門海峡を挟んで目と鼻の先。九州と本州の違いこそあるが、山口県長門市仙崎。何度かドライブや近くの温泉に出かけたとこはありますが、今回は≪金子みすゞ≫さんの記念館に出かけました。
こだまでしょうか
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
ACのCMに登場する 『 こだまでしょうか』という詩は、1903年山口生まれの女性童謡詩人、金子みすず(金子みすゞ)の作品です。震災の時に何度も耳にしました。震災を自分のこととして受けとめ、出来ることを少しでも始めて、そして、なにより、こういう時だからこそ、私たち一人ひとりが、きちんと日々を過ごすことで、しっかりとこだまし合いたいと強く思いました。その時に改めて金子みすゞさんの他の作品を見て読んで、今、没後80年以上経ってもその詩はまったく古びず、今、目の前で作られ、読まれたもののように自然に心に入ってくるのには新鮮で驚きました。
あまりに早く亡くなった金子みすゞ。彼女の詩は没後散逸し、幻の童謡詩人といわれたそうです。しかし、戦後「日本童謡集」という書籍に「大漁」という金子みすずの詩が掲載され、それが童謡詩人の矢崎節夫氏の目に偶然とまり、この作品に魅入られた矢崎氏は実に16年間にわたってみすずの作品を探し続けたといいます。その矢崎節夫氏が金子みすゞ記念館の館長さんです。
大漁
朝焼け小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう
春になると日本中どこでも見られるのは桜の花が咲いて散っていく風景です。咲く命も、散る命です。そこに集う人もまた、いつかこの世を去っていきます。「喜びと悲しみ」「生きることと死ぬこと」。すべては二つで一つ。「あなたと私」で、実は、二つで一つなんですね。
記念館では23歳で結婚したものの、文学に理解のない夫から詩作を禁じられてしまい、さらには病気、離婚と苦しみが続き、ついには、前夫から最愛の娘を奪われないために自死の道を選び、26歳という若さでこの世を去ってしまった人生を作品と共に詳しく紹介されています。自然の風景をやさしく見つめ、優しさにつらぬかれた彼女の作品の数々は、21世紀を生きる私たちに大切なメッセージを伝えていると思います。作品の言葉の美しい響きに改めて驚きました。
私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんの唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
「みんなちがって、みんないい」人には個性があり個人差があることを受け入れる気持になります。
詩を詠んで、優しい気持ちになれて、明日からまた頑張ろうという気持ちになりました。帰りに、金子みすゞ全集と絵葉書を購入して福岡に帰ってきました。
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