エンジェルさん、こんにちは。 婚活連載小説⑬ 作 エンジェルおじさん

第三章 肉食女と草食男

《前回までのあらすじ・・・・・・兵頭圭子に冨澤博。くしくも同じ時期に婚活を始めた二人だが、二人が出会うのはまだ先の話。今日もまたコンカツ女の紗子がやって来て・・・。》

「もしもし~、元気?この前はごめんね。圭子、もうご飯食べた?近くにいるんだけど出て来れない?」

紗子から電話があったのはちょうど昼の1時をまわった時だった。圭子の職場は仕事柄、昼休みなんてものはない。昼食に行くのもみんなばらばらに好きな時間に行く。出勤時間が朝の10時なので、12時きっかりに昼食を食べる者は誰もいない。圭子も大体13時から14時ぐらいに、近くの喫茶店で打ち合わせを兼ねて軽い物を食べる。その事を知っている紗子は狙って電話してきたのだろう。

「ちょうど、外に出ようかと思っていたところだからいいわよ。どこにいるの?」

「圭子の会社の並びにあるスタバよ。」

「なんだ、近くじゃない。今日はお店は休みなの?」

「ううん。暇だから美由紀ちゃんにまかせて出てきたわ。」

紗子は青山で猫の額ほどの小さなブティックをやっている。猫の額ほどと言ってもそれなりのお金はかかる。全て別れた社長から手切れ金としてもらったものだ。イタリアのあるブランドに特化していて、直接イタリアに買付にまで行っているらしい。価格も手ごろらしく、二流セレブの御用達としてそこそこ繁盛しているようだ。美由紀というのは、前回の合コンでろくでもない男たちを連れてきていた紗子の店の従業員だ。紗子の遠縁にあたるらしく、昔から親分、子分のような関係が続いている。

「じゃあ、スタバで待ってて。すぐ行くわ。」

圭子はそう言うとバッグを持って外に出た。今日は夕方から都内のホテルで、ある作家とタレントの対談がある。

(紗子とお茶飲んでそのままホテルへ向かおう。)

スタバに着くと、奥にあるソファに紗子の姿が見えた。圭子は注文したサンドイッチとアイスのカフェラテをトレイに乗せて、紗子が取っておいてくれた前のソファへ腰かけた。

「お疲れ様!毎日、蒸し暑いわねえ。」

相変わらず派手目の洋服に厚化粧。紗子はそう言うと、扇子でパタパタと顔を扇いだ。

「この前は、ごめん。先に帰っちゃって・・・。」

「いいのよ。私こそ悪かったわ。医者が来るから期待して行ったのに・・・。変なのばっかりだったわね。アハハ。あ、そうそうこの前のお釣り返すわ。」

紗子はそう言うと、財布の中から五千円札を取り出し圭子の手にそのまま握らせた。

「ごめんなさい、たいしてお料理も食べていないのに・・・。次はもっといい人連れて来るように、美由紀ちゃんに頼んでおくわ。」

「もう合コンはいいわよ。それよりあの後は、どうなったのよ?」

「それがさあ・・・。ちょっと聞いてくれる?あの後、みんなでカラオケでも行こうって話になったんだけど、いつのまにか例の医者は帰るし、美由紀ちゃんの友達もいつのまにか帰ってるし、結局残ったのは私と美由紀ちゃんと、浜田とかいうお調子男と筋肉のかたまりで出来たような男、そう、あの警察官だっけ?その4人だけでカラオケ行ったのよ。」

「うん、それで?」

圭子はサンドイッチをほおばりながら話を聞く。

「カラオケ行ったら、お調子男が一人で歌いまくっちゃって・・・。たいしてうまくもないのにさあ、B’Zとか、GLAYとか。あの筋肉君は飲みすぎたのか、途中で寝ちゃうし・・・。ちっとも面白くなかったわ。私も適当なとこで帰ったわよ。」

よっぽどつまらなかったのだろう。紗子は一気にまくし立てた。

「ふーん。まあ、そんなことだろうと思ったけど・・・。」

「その、浜田が結局いろいろバラしたんだけど、あの杉本とかいう医者も2代目のボンボンなんだって!病院も小さな小児科らしいわよ。そんなに儲かってるような病院でもないって!あ、そうそうクルーザー持ってるとか言ってたでしょ?あれも嘘よ!」

「え!どういうこと?」

「一応、船はあるにはあるらしいけど、小さな漁業用のボートらしいわよ。後ろにモーターがついてるやつ。船上パーティーなんてやったことないんだって!まあ、そんな船じゃ何も出来ないだろうけどさ。」

「まあ!」

「あいつら、いつもあんなことしてるのよ!医者をダシにして女の子と合コンやってるのよ。きっと、杉本って男はいくらかもらってるんじゃないの?」

「・・・・・・・。」

その、医者というエサに見事に食いついたのはあんたじゃん!と、圭子は心の中で思うのだった。

「あんたらも、医者につられて来たんじゃろう?ヘヘヘ。」浜田の薄ら笑いをまた思い出した。

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「そうそう、美由紀ちゃんから聞いたんだけどさあ!私もビックリしたんだけど・・・。」

「何よ?」

「その、一次会で帰った、美由紀ちゃんの友達で亜紀ちゃんて目立たない女の子がいたでしょ?」

「うん。」

「もう一人アキバ系のような男がいたでしょ?大きなリュックサック持って来てた人。確か、遠藤とかいう・・・。」

「うん、うん!」

「その、亜紀ちゃんと今付き合っているらしいわよ!」

「え~!」

つづく

 

 

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